中国では再生可能エネルギー発電の急拡大に伴い、電力を一時的に蓄える「蓄電システム」の設置が急増している。その総設備容量が50GW(ギガワット)を突破したことが、業界団体の集計でわかった。

蓄電方式別の内訳を見ると、伝統的な「揚水式(揚水発電)」の比率がいくぶん上昇した一方、「電気化学式」はリチウムイオン電池のコストアップの影響により比率がやや低下した。また、新技術として「フロー電池」が頭角を現してきたのが注目される。  

(訳注:フロー電池は、電位差のある2種類の電解液を循環させることで電子の移動を行い、充放電する電池。大型の設備が必要だが、電解液の劣化がほとんどなく長期安定稼働が可能とされる)





 蓄電システムの業界団体の中関村儲能産業技術聯盟が11月25日に発表したレポートによれば、2022年9月末時点で稼働中の蓄電システムの総設備容量は50.3GWと、1年前と比較して36%増加した。

■「バナジウム・フロー電池」が台頭

 そのうち揚水式の比率は85.6%と、1年前より0.2%増加。蓄電システムの主流の座を維持している。一方、電気化学式を含む「新型蓄電システム」は急拡大を続けており、9月末時点の総設備容量は6.66GWと同78%増加した。

 とはいえ、新型蓄電システムの代表格であるリチウムイオン電池を用いた蓄電システムは、全体に占める比率が若干低下した。(電池の主原料である)リチウム相場の高騰により、電池の調達コストが上昇して採算が悪化。システムの設置や稼働が先送りされているためだ。

 注目すべきなのは、これまでごく小規模だったフロー電池を用いた蓄電システムが、ここにきて頭角を現してきたことだ。2022年10月には中国初の100MW(メガワット)級のフロー電池蓄電システムが遼寧省大連市に完成し、すでに稼働を始めている。

 フロー電池の技術で商用化が先行しているのは「バナジウムレドックスフロー電池(VRFB)」だ。この電池は正極および負極の電解液中のバナジウムイオンが酸化還元反応を起こすことにより、電気の充放電を実現する。

※記事の出典元はツイッターで確認できます⇒コチラ