「2022年は厳しい環境ながらコロナからの立ち直りで受注が回復し、事業としてはまずまずだった」と話す加貫ローラ製作所の加貫泰弘社長。2023年は特に液晶偏光フィルム用ロールに関するニーズを幅広く獲得し、シェアアップに繋げていく方針だ。
■2022年を振り返って
■2022年を振り返って
原材料の供給停滞や価格高騰、秋からの電力料金の大幅上昇など取り巻く環境は厳しかったが、事業としてはまずまずだった。コロナから立ち直り、取引先の事業が活動を再開したことを受けて、当社の受注も順調に回復した。社内においても残業時間の削減を実現するために製造・営業を問わず効率的な働き方に取り組んだ。こうした努力がしっかりと実を結び、効果を発揮した一年だった。
■2022年度の現況と見通し
上期(4~9月)の売上高は堅調だった。印刷用ロールは紙離れで市場は縮小傾向ながら、市況の上向きとともに取り換え需要が増加。UV印刷機への切り替えが進み、専用ロールの需要も伸長した。また、食品トレイやパッケージ印刷が増加したことで、グラビア印刷用ロールの需要も堅調に推移した。工業用ロールも需要が好調で、特に液晶の偏光フィルム用とリチウムイオン電池のセパレータ―フィルム用が動いた。足元も同様の状況で推移しており、通期売上高は計画数字を達成できる見込みだ。
■海外拠点の現況
全体的に堅調に推移し、中国は進出してからの10年で過去最高の業績となる見通しだ。日系企業を中心に工業用で旺盛な需要が続いた。上海ロックダウンによる影響は限定的で、営業面の移動制限などはリモートで対応した。韓国は液晶関連の需要が堅調に推移。協力会社を通じて展開している東南アジアは、コロナによる落ち込みから回復し対面での交流も再開した。印刷用が伸び悩むなか、旺盛な設備投資需要を受けて工業用が伸びている状況だ。
■経営方針
印刷用の需要を押さえつつ、より伸びている工業用に軸足を置いて拡販する。大口需要先となる液晶偏光フィルムは複数の層からなり、関わるメーカーも多岐にわたる。最終製品だけでなく、それに関わるメーカーを把握することで、どのような性能や形状の製品が求められているかが分かる。それらの情報をしっかりと獲得していきたい。国内・海外営業部や、海外拠点(中国、韓国、台湾)とも情報交換などで連動し、シェアアップに繋げていく。
■設備投資
社内の情報システムの再構築とともに、製造設備の自動化を進めていく。情報システムの再構築は情報の共有化や作業のIT化などで、どこまでの範囲で適用できるかを検証中だ。製造設備の自動化については、少量多品種を製造するロールの製造工程では難しい面もあるが、検査工程や危険を伴う作業など、一部でもできる工程を探し取り組んでいく。
■課題点
生産性の向上を継続しながら、新しいロールの製造方法を模索していく。巻き方や研磨方法など製造方法を一からしっかり見直し、現在とは違う革新的な製造方法がないかを探っていく。製造部だけでなく技術部、営業部、総務部も巻き込んで皆でアイデアを出しながら取り組んでいく。難しいテーマなので、すぐに答えが出るとは考えていない。5~10年先を見据えてチャンレンジしていきたい。
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