テレビ用液晶パネルの1月の大口取引価格は大型品、小型品ともに前月から横ばいだった。横ばいは2カ月連続。主力の中国市場は年末商戦でテレビ販売が振るわず、テレビメーカーの調達意欲が弱い。一方のパネルメーカーは生産調整として、生産ラインの稼働率を落とした。過度な余剰感は後退しているものの、市中の在庫調整が続いている。

大口取引価格は売り手であるアジアのパネルメーカーと、買い手である国内外のテレビメーカーが月ごとに決める。1月は大型品で指標となるTFT55型オープンセル(バックライトがついていない半製品)が1枚86ドル前後。小型品のTFT32型オープンセルは1枚30ドル前後。いずれも前月と同値となった。





薄型テレビの世界需要で2割ほどを占める中国では、年末商戦でテレビ販売が伸び悩んだ。ゼロコロナ政策の緩和で新型コロナウイルスの感染が急拡大したとみられ、消費が落ち込んだ。中国のテレビメーカーは液晶パネルの在庫を想定よりも多く抱えており、調達を抑制したもようだ。

日本でもテレビ販売が振るわない。電子情報技術産業協会(JEITA)によると、2022年12月の薄型テレビの出荷台数は前年同月を17%下回った。物価高に伴う可処分所得の実質的な目減りで、消費者がテレビの購入を見合わせる動きが出たようだ。

需要の落ち込みに対応し、パネルメーカーの一部は昨年末に生産ラインの稼働率を落としたとみられる。一段と値下がりするほどの過度な余剰感はない。

米調査会社DSCCの田村喜男アジア代表は「テレビメーカーの在庫調整が長引いている。需要は弱いままのため、2月も横ばいとなりそうだ」と話す。

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