半導体工場向け設備メーカー「蘇州尊芯智能科技(Zunxin Intelligent)」がこのほど、エンジェルラウンドで数千万元(数億~十数億円)を調達した。深圳同創偉業(COWIN CAPITAL)が出資を主導し、協立資本(SHARELINK CAPITAL)も参加した。
調達した資金は、自動搬送システムAMHS(Automated Material Handling System)のストッカー開発と量産準備、OHT(Overhead Hoist Transport:天井走行型搬送車)の開発、海外展開に用いられる。

 尊芯智能科技は2020年に設立され、半導体工場の自動搬送システムAMHSの開発、製造、販売に注力している。AMHSは半導体工場で材料運搬の効率に直結する基幹システムの一つであり、先端半導体工場における量産効率を効果的に高めることができる。
中国の半導体産業の規模は近年拡大を続けており、AMHS市場にも大きな将来性がある。





AMHSは半導体製造工場の設備投資の約5%を占める重要な部分だ。チップ製造のプロセスや環境には高い水準が求められ、最先端の12インチウエハ半導体工場ではクリーン環境が必須なほか、無人化・24時間体制の管理を実施する必要がある。AMHSはクリーン環境内で複雑なプロセス間の無人搬送を可能にし、品質と歩留まりを確保しながら運営効率を向上させることができる。業界の技術発展に伴い、AMHSも12インチウエハ製造、チップ製造、先端パッケージングなど、半導体製造のさまざまな工程で活用が進んでいる。

中国および世界のAMHS市場は長年にわたり、日本の村田機械株式会社と株式会社ダイフクの寡占状態だった。中国の半導体工場におけるシェアはこの2社だけで90%以上に上っており、世界市場では実に95%以上のシェアを握っている。国際情勢の変化を受けて、中国本土の半導体工場ではAMHSのハードウエア設備やソフトウエアシステムの国産化が急務となっている。

尊芯智能科技を創業した趙萌氏は西安電子科技大学のコンピューター専攻を卒業後、日本の液晶・半導体業界の上場企業に勤務した。同社のコアメンバーは村田機械の出身で、豊富な業界経験を持つ。

尊芯智能科技は村田機械をベンチマークとしてAMHSの国産化を実現することに加え、現在は韓国支社の設立準備も行っており、海外への製品供給を計画している。今年中にはAMHSのハードウエアとソフトウエア全ての開発が完了する予定だという。2024年はより上位レイヤのソフトウエアアーキテクチャの構築を進め、MCS(搬送制御・管理システム)をMES(製造実行システム)へと拡張することを目指す。ハードウエアの開発では、日本や韓国の優れたリソースを活用し、半導体産業の他の装置の技術も導入していく考えだ。

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