日亜化学工業とドイツInfineon Technologies(インフィニオンテクノロジーズ)は、ヘッドランプの配光を制御する機能「アダプティブドライビングビーム(ADB)」向けに、マイクロLED(発光ダイオード)を使った光源部品を共同開発した。照射角や光量といった性能を従来より高めながらも、ヘッドランプを小型化できるとする。ドイツの自動車メーカーが2023年中に発売する高級車に採用された。

日亜化学製の1万6000個を超えるマイクロLEDを搭載し、インフィニオンのLED駆動用ICを組み合わせた。マイクロLEDと駆動用ICを一体化した光源部品は「業界初」(日亜化学)という。両部品を統合したことで、ADBにマイクロミラーを使う従来のヘッドランプに比べ照射角を4倍に広げられ、光量を高められるとする。

ADB向けのマイクロLED光源
日亜化学製の1万6384個のマイクロLEDと、インフィニオン製のLED駆動用ICなどで構成する。同ICは各LEDの温度を監視して個別に制御する機能なども搭載する。(画像:インフィニオン)
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 インフィニオンの駆動用ICは各LEDを個別に制御できる。光の照射パターンに応じて必要なLEDだけを作動させるため、従来品よりヘッドランプを小型に設計でき、エネルギー効率を向上させられるという。

 両社が開発した光源部品を搭載したADBでは、道路脇の歩行者や物体を照らして運転者に危険を知らせたり、工事現場や交差点で運転者を誘導するために路面に印を投影したりすることもできるという。

 近年、運転の快適性や安全性を高めるため、LEDを使った車載照明の技術が進展している。両社は2019年にADB向けマイクロLED光源を共同開発することを公表していた。