LG COF_prw_OI1fl_MBjfF42m先月ラスベガスで開催された「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」のスローガンは、メタバースに焦点を当てたものだった。展示場では、メタバースの具体化につながるクロスリアリティ(XR)デバイスの分野で、未来の勝者は誰になるのかに注目が集まっていた。

 LGイノテック(代表チョン・チョルドン)は22日、クロスリアリティ(XR)デバイスに欠かせない製品である「2メタル(Metal)COF」を披露し、市場攻略を強化していくと発表した。この製品は、今年のCESでLGイノテックの「メタバース」コーナーで紹介され、来訪者の注目を集めた。

 COF(Chip on Film)とは、ディスプレイとメイン基板(PCB)をつなぐ半導体パッケージ基板(Package Substrate)のことだ。テレビやノートパソコン、モニター、スマートフォンなどのディスプレイのベゼルの最小化が可能なので、モジュールの小型化にも貢献する。非常に薄いフィルムの上に微細回路を形成する必要があるため、高度な技術が必要となる。従来のフレキシブル基板(FPCB、Flexible Printed Circuit Boards)を置き換える“超微細フレキシブル基板”とも呼ばれている。





「2メタルCOF」は、従来の片面COFを技術的に向上させたものだ。従来のCOFは片面に回路を形成したものであるのに対し、2メタルCOFは両面に回路を形成したUltra Fineパターンの製品になっているのが最も大きな特徴だ。

この製品は、薄いフィルムに「マイクロビアホール」という穴を微細加工し、両面に超微細パターンを形成したものであるが、これによって電子機器間での信号の伝送を高速に行うことができるのはもちろん、超高画質の画面も可能になる。

LGイノテックによると、この製品のビアホールのサイズは25マイクロメートルとなっている。髪の毛の太さが100マイクロメートルであることを考えると、髪の毛の4分の1の太さで穴を開けていることになる。ビアホールが小さいほど、製品の上面と下面をつなぐ通路を多く設けることができ、電気信号が行き交うパターンを多く形成することができる。

最近、メタバースの時代が本格化したことから、折り曲げることができるディスプレイの採用が増えており、このようなディスプレイに搭載される部品にも柔軟性が求められている。自由に折り曲げることができる2メタルCOFが、現在のディスプレイ業界のトレンドに合った製品として挙げられている理由でもある。

■高解像度ディスプレイに対応、ユーザーの没入感向上に期待

LGイノテックの「2メタルCOF」は、空間が限られているフィルム(1ユニット)の両面に合わせて4,000個以上の回路(ディスプレイの各画素に信号を送るためのパターン回路、チャンネルとも呼ばれている)を形成することができる。一般的に、パターン回路が増えるほど画素も向上する。画素が向上すると、高い没入感が得られるXRデバイスを作ることが可能になる。

XRデバイスを通して表示される仮想画像の解像度が低い場合は、まるで網目を通して画像を見ているような不便な現象(スクリーンドアエフェクト)が起こる。LGイノテックは、このスクリーンドアエフェクトを最小限に抑え、超高解像度に対応するために2016年から2メタルCOFの仕様を継続的に改善してきた。

LGイノテックは特に、新しい工法技術を採用し、パターン の幅とスペースを16マイクロメートルピッチまで縮小した。これまで18マイクロメートルだったパターンのピッチを縮小し、業界で最も狭いパターン 形成を実現させた。回路の幅が狭くなると、COFの表面に形成できるパターンの個数が増えるため、同じサイズのディスプレイでも、ユーザーはより高画質な映像を見ることができるようになる。

実際に、ITメーカーはデバイスの競争力を示すために、高画質でベゼルを最小化したディスプレイの採用を増やしている。ITメーカーは、かつてはディスプレイの駆動をサポートする技術である「チップ・オン・グラス(COG、Chip on Glass)」を使用していた。COGは、ディスプレイの上にチップを直接に実装する技術だが、柔軟性がなく、「ベゼルレス」、「フレキシブル」という現在のディスプレイ業界のトレンドに合っていない。そのため、ディスプレイのベゼルを狭くすることができ、高画素に安定的に対応する2メタルCOFが脚光を浴びることになった。

■薄くて、折り曲げやすい製品としてクライアントの様々なデザインニーズに対応可能

LGイノテックの2メタルCOFは、薄くて柔軟なフィルムタイプで、自由に曲げたり丸めたりすることができる。XRデバイスがより進化していけるように、デザインや設計にも貢献しているのだ。

LGイノテックは、独自の超微細回路形成技術を採用し、2メタルCOFの回路集積度を2倍に高めつつ、厚さを最小限に抑えている。この製品のフィルムの厚さは70マイクロメートルに過ぎないが、これは半導体基板の中では最も薄い。通常の半導体パッケージ基板の厚さが150マイクロメートル強であるのと比べると、確かに薄いということがわかる。

厚さが薄くなると、完成品の柔軟性や薄型化にも貢献できる。ディスプレイパネルメーカーのデザインや設計の自由度が高くなるというメリットがある。一般消費者にとっても、従来のXRデバイスよりも完成度の高いデザインの製品を体感することができるようになる。

■2メタルCOFでXRの時代を拓き、さまざまなアプリケーションに適用

LGイノテックは、競合との差をつけるために、技術を高度化すると同時にXRデバイスのメーカーが集中している北米や日本をターゲットにしたプロモーションを積極的に展開している。

2メタルCOFの高集積回路形成技術は、フレキシブル基板では対応が難しい製品の代替技術として採用されており、マイクロLEDのような新しい製品群のアプリケーションとしても開発されている。

ソン・ギルトン基板素材事業部長(専務)は、「50年間にわたって基板事業をリードしてきた技術力と品質を活かし、2メタルCOF市場を先導していきたい」とし、「さまざまなアプリケーションに適用できる製品で、差別化された顧客価値を創出していきたい」と述べた。

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