シャープが7年ぶりに200億円の営業赤字に陥る。営業赤字は、経営危機で台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入る前の2016年3月期(1619億円の赤字)以来の7年ぶりだ。 シャープは、液晶ディスプレイを生産する堺工場の運営会社「堺ディスプレイプロダクト(SDP)」を、2022年6月27日に完全子会社化した。
このSDPの完全子会社化が赤字の主因ではないかと言われている。
シャープは、2021年2月には残りのSDP株を全て売却する方針を発表した。しかし、売却先との交渉の結果、これは中止となった経緯がある。
今回のSDPの完全子会社化は、これと真逆の動きである。シャープは、なぜ赤字を覚悟でSDP株を取得して完全子会社化を図ったのか?
なぜ再び液晶ビジネスの荒波にもまれる覚悟をしたのだろうか?
私は、シャープで太陽電池と液晶の研究開発に33年間従事し、その後、大学の教員に転職してからもシャープの液晶事業を分析してきた。それを基に、シャープに関する書籍を3冊出版している。その内の拙著『シャープ再建』(啓文社書房)は、約4年前に戴会長と面談したことを契機に、その人柄とリーダーシップを分析したものだ。このため、私は妙に腑に落ちたのだ。
戴正呉社長(当時)から面談の依頼があり、私がシャープ本社を訪れたのは2018年6月のことだった。私は2016年3月に『シャープ「企業敗戦」の深層』(イースト・プレス)を出版していた。Read full article
その私に、シャープの再建について話を聞いてみたいと思われたようだ。
私は、戴社長と会い、持論である「すり合わせ国際経営」と「共創」の考え方を説明した。
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