価格トレンド202303テレビ用液晶パネルの2月の大口取引価格は、大型品で指標となるTFT55型オープンセル(バックライトがついていない半製品)が1枚88ドル前後と前月から2ドル(2%)上昇した。値上がりは3カ月ぶり。大型品は需要家の在庫調整が進み、引き合いが戻った。余剰感が残る小型品は横ばいとなり、値動きにはばらつきがあった。

大口取引価格は売り手となるアジアのパネルメーカーと、買い手となる国内外のテレビメーカーが月ごとに決める。大型品のTFT55型オープンセルは2022年6月(同90ドル前後)以来8カ月ぶりとなる高値水準に上がった。一方、小型品のTFT32型オープンセルは前月と同値の1枚30ドル前後にとどまった。横ばいは3カ月連続。





大口取引価格は大型品、小型品ともに22年9月に底入れしたものの、需要の弱さから底値圏での推移が続く。物価高で消費者が節約志向を強め、完成品であるテレビの販売が世界的に振るわない。

需要家のテレビメーカーは昨年から液晶パネルの在庫調整に力を入れている。55型や65型といった大型品は在庫調整が進んだもようで、2月に引き合いがあった。供給するパネルメーカー側も大型品の収益率を改善したい意向があり、55型品は3カ月ぶりの値上がりで決着した。

今後は32型品の在庫調整も進み、テレビ用液晶パネル全体の在庫水準は今春におおむね適正水準になるとみられる。米調査会社DSCCの田村喜男アジア代表は「市況のムードが変わり始めた。大口取引価格は上昇基調に入りそうだ」とみる。

※記事の出典元はツイッターで確認できます⇒コチラ