近畿大学(近大)と大阪公立大学(大阪公大)の両者は4月13日、イリジウム錯体を発光材料とする、フルカラー円偏光発光有機ELを開発。この有機ELに外部から磁力を加えることで、3D立体映像を映し出す際に使われる「円偏光」を、赤・緑・青・黄(RGBY)のフルカラーで発生させることに成功したと共同で発表した。
同成果は、近大大学院 総合理工学研究科の北原真穂大学院生、近大 理工学部 応用化学科の今井喜胤教授、大阪公大大学院 工学研究科の八木繁幸教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、有機エレクトロニクス全般を扱う学術誌「Organic Electronics」に掲載された。
円偏光とは、特定の方向に振動し、なおかつらせん状に回転している光のことをいう。円偏光を発する有機ELは、3D表示用有機ディスプレイなどに使用される新技術として注目されている。
同成果は、近大大学院 総合理工学研究科の北原真穂大学院生、近大 理工学部 応用化学科の今井喜胤教授、大阪公大大学院 工学研究科の八木繁幸教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、有機エレクトロニクス全般を扱う学術誌「Organic Electronics」に掲載された。
円偏光とは、特定の方向に振動し、なおかつらせん状に回転している光のことをいう。円偏光を発する有機ELは、3D表示用有機ディスプレイなどに使用される新技術として注目されている。
現在、円偏光を発生させるには、光学フィルタを用いる以外に、鏡面対称の構造を持つ光学活性な分子を用いて円偏光有機ELを作製するという手法がある。ただし同手法では、右回転と左回転の円偏光を発生させる分子が混在している光学不活性の状態から、目的とするどちらかの分子だけを得る必要があり、デバイス作製コストが高くなってしまう点が課題となっている。
研究チームはこれまで、光学不活性な分子を用いた場合でも円偏光を発生させる新しい手法の研究を進めてきた。そして今回は、より安価にフルカラーの円偏光を発生させるデバイスの開発を目指し、発光ダイオードの材料として実用化されている、光学不活性なイリジウム錯体を発光材料として用いることで、RGBYフルカラー有機ELを開発したという。
今回の研究では、4種類の光学不活性なイリジウム錯体(鏡像異性体の当量混合物)、「IrIII(piq)3」、「IrIII(ppy)3」、「IrIII(F2-ppy)2(pic)」、「IrIII(BT)2(acac)」をそれぞれ発光材料とする、4つの有機ELが作製された。また、それらの有機ELに外部から磁力を加えながら光を発生させたところ、発光材料が光学不活性であるにもかかわらず、高効率にRGBYフルカラーの磁気円偏光を発生させることに成功したとする。
さらに、加える磁力の方向を変えることで円偏光の回転方向を制御すること、つまり単一の分子から左右どちらの回転の円偏光をも選択的に取り出すことに成功した。
今回の研究成果により、室温かつ永久磁石による磁場下に有機ELを設置するだけで、RGBYフルカラー円偏光を発生させることが可能となった。また、光学不活性な分子は、一般的に光学活性な分子よりも安価であるため、イリジウム錯体を用いることで、フルカラー円偏光有機ELの製造コストが抑制できる可能性があるという。研究チームはこれにより、3D表示用有機ELディスプレイなどの製造コスト削減や、高度な次世代セキュリティ認証技術の実用化などにつながることが期待されるとしている。
※記事の出典元はツイッターで確認できます⇒コチラ
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