発電効率の追求とコストバランスのせめぎ合いのなかで、「多結晶から単結晶」へ、そして「セルの大型化」、「PERC技術の採用」など、太陽光パネル業界にはこれまで何度か技術トレンドの変容があった。いま起きている「P型からN型へ」の移行も、これからの市場に大きな影響を与えていくことになるだろう。  

そもそもP型・N型とは、結晶シリコン太陽電池モジュールのセルを構成する半導体の種別だ。これまでは、主にコスト的な要因から、市販されるモジュールのほぼすべてで、P型セルが採用されてきた。しかし昨今、P型セル太陽電池モジュールによる変換効率の追求が限界に近づき、これを超える次の一手が求められていた。





 そこに登場してきたのが、N型セルだ。N型セルは、P型セルでは発電できないような低照度でも発電可能であり、しかも高温時の発電量低下が少なく、劣化しにくいなどのメリットをもつ。最大出力が同じスペックだったとしても、原理的にP型よりN型の方がより多くの発電量を得ることができるのだ。そのことは以前から分かっていたが、N型セルは製造コストも高くついたため、N型セルを用いた太陽電池モジュールの商品化は進んでこなかった。

 しかし、2022年には、太陽光パネル上位メーカーの多くがN型モジュールの製品化を発表。2023年中には、主要製品ラインアップをP型モジュールからN型モジュールに順次切り替えてくことを表明している。それぞれの製品の特徴は、どこにあるのか──各社の動向を整理する。