Oppo 2023中国のIT関連情報サイトの芯智訊はこのほど、中国の通信機器製造とソフトウェア開発大手のOPPO(オッポ)が、ICチップの自主開発を断念した件についての解説記事を掲載した。

 OPPOは12日、2019年8月に設立してチップ設計などを手掛けてきた関連企業の哲庫科技(ZEKU)の事業を全面的に打ち切ると発表した。OPPOは、世界経済や携帯電話市場の不確実性に直面し、慎重に検討した結果、ZEKU事業の終了を決定したと発表した。OPPOはまた、「難しい決断でした。われわれは適切に対応し、これまで通り製品を作り、価値を創造し続けていきます」と表明した。

 ZEKUの従業員の1人は、「昨夜の退社後に、会社から突然の通知を受けた。会社がIT関連で重大なアップグレードをするので、今日は出社はしなくてよいが、全従業員会議(毎月開催のオンライン会議)には時間通りに参加せねばならないとのことだった。そして、会社は今日になり、突然この(事業停止の)情報を発表した。何の前触れもなく、今も全くピンと来ない」と述べた。






従業員への補償案については、OPPOは「N+3」という方式を提示した。従業員を解雇する場合には所定の日数より前に通告する必要があるが、それを実行しない場合には解雇従業員の在籍年数をNとして、「N+3」カ月分の金銭を支払う方式だ。OPPO側は年末ボーナスを含めて1カ月当たりの賃金を算出して、適用する考えを示した。芯智訊記事は「比較的良心的」と評した。

哲庫科技の従業員数は3000人以上に達している。解雇についてOPPOが提示した条件は悪くないが、一度に3000人以上がチップ設計業界の求職市場に押し寄せれば、雇用情勢に大きな圧力がもたらされると考えられる。しかし、急速に発展しつつある中国のチップ設計会社の中には、ZEKUの優秀な人材の「引っこ抜き競争」に乗り出したケースもある。

 OPPOは独自のチップを研究開発するために、100%出資のチップ設計子会社「守朴科技(上海)有限公司」を設立したのは19年だった。20年7月には哲庫科技(上海)有限公司(ZEKU)に社名変更した。ZEKUの製品ラインアップには、アプリケーションプロセッサー、短距離通信機器、5Gモデムなどがある。

OPPOは21年12月、初の自社開発チップ「MariSilicon X」の開発に成功した。このチップは「映像を計算する」能力を高めるための強力な映像NPUチップであり、OPPOの多くの主力スマートフォンに搭載されることになった。OPPOは22年12月、自社開発チップ第2弾の「MariSilicon Y」の開発を終えた。このチップは、「音源を計算する能力」によりブルートゥースオーディオ機器に音質の向上をもたらすシステム・オン・チップ(SoC)だ。

ただ現時点では、OPPOの自社開発チップは2種とも、出荷数が比較的少ない。加えて22年以降、世界のスマートフォン市場は縮小を続けていることもOPPOにとって大きな圧力になった。世界的なITおよび通信分野の調査・分析会社であるIDCによると、22年の世界のスマートフォン出荷台数は前年比11.3%減で、OPPOの出荷台数は同22.7%減の1億330万台だった。

一方で、米国は近年、さまざまな規制策を打ち出して中国の半導体産業を圧迫し続けており、中国の有力半導体企業も制裁の対象にしている。そのため、中国国外市場に販売している端末メーカーは大きな打撃を受けた。

OPPO以外にも、小米(シャオミ)やvivoなどの携帯電話メーカーも携帯電話用チップを自社開発している。シャオミは第1弾の澎湃S1が挫折した後、携帯電話の制御のメインとなるSoCから手を引いて、ISPプロセッサや電源管理チップなどに舵を切ったが、vivoも同様にISPチップに焦点を絞っている。

小米とvivoがOPPOと異なるのは、比較的「軽量級」のチップを手掛けてきたことだ。チップ開発チームは独立させるか、比較的小さな規模を維持して、他のチップ設計サービスメーカーの協力を得る方式だ。そのため、両社は現在のところ、チップの自前開発による負担が比較的小さく、外部環境の突然の悪化について、OPPOほどには深刻に懸念する必要はない。

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