「ディスプレー事業の収益改善は、AGCグループにとって喫緊の経営課題である」――。AGC副社長執行役員CFO(最高財務責任者)の宮地伸二氏は、2023年5月12日に同社が開いた2023年1~3月期の連結決算(国際会計基準)説明会で、液晶ディスプレーの国内での製造を大幅に縮小すると発表した。

 2023年末までに関西工場 高砂事業所(兵庫県高砂市)における液晶用ガラス基板製品の生産を終了する。同社は国内3拠点で液晶用ガラス基板を製造しており、同事業所での生産終了により国内での生産能力は半減することになる。今後は、中国など海外拠点での生産に注力する。





ディスプレー事業では、テレビ向けの液晶用ガラス基板と、スマートフォン向けのディスプレー特殊ガラスの出荷が減少し、売上高は前年同月比で92億円減の358億円だった。液晶用ディスプレーについては、新型コロナウイルス禍における巣ごもり需要の反動でテレビの販売が低迷し、国内での需要が低下した。さらに、原燃材料価格の高騰や、アジア通貨高による製造コストの上昇が影響し、国内生産の必要性が低下したことから生産ラインの大幅縮小に踏み切った。

 収益改善策として、今後は高収益が見込める大型パネル用ガラス基板事業に集中し、小型テレビ向けなどの低収益のガラス基板事業から撤退する。第1弾として、高砂事業所での液晶用ガラス基板の生産終了を決めた。今後、投資も大型パネル用に絞り、その他の投資は凍結するなどし、収益改善を急ぐ。

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