先ごろ、アップルが2024年に投入する腕時計型ウエアラブル端末、Apple Watch(アップルウオッチ)新製品のディスプレイには現行の有機EL(OLED)ではなく、マイクロ発光ダイオード(LED)技術が採用されるとの観測が伝えられ、注目を集めた。
さらに市場調査会社ヨール・グループは、アップルのこの動きが「ディスプレイ革命」を引き起こすとの見方まで示した。
アップルはハイテク業界のトレンドを生み出すリーディングカンパニーであり、その一挙手一投足に商機が潜んでいる。同社が新しい材料を導入すれば、その材料のサプライヤーに成長力をもたらすことになる。これがマイクロLEDに対する関心が高まっている理由でもある。
従来型LEDチップの多くは、サイズがミリメートルレベルだが、マイクロLEDは50マイクロメートルまで縮小することができる。
マイクロLEDはサイズが小さい一方で、輝度は有機ELの30倍に上る。マイクロLEDを使ったディスプレイは光源を増やすためのバックライトモジュールが不要だ。また輝度が非常に高いことで優れた節電効果も得られる。またディスプレイパネルに、より多くのLEDチップを収めることが可能なため、解像度や透明度が高められるというメリットがあるほか、曲げたり、伸ばしたりする性能にも向上が見込める。
ただマイクロLEDとLED、有機ELとミニLEDは、相互に代替できない関係にあるため、一方の技術が消失することはない。
台湾のパネル産業は、中国メーカーや韓国メーカーとの価格競争に苦戦し、衰退が続いている。現在、中国と韓国では依然として有機ELとミニLEDの生産が主流となっており、マイクロLEDは技術的な難易度の高さからコストが抑制できず、大規模な生産は行われていない。このこともマイクロLEDの商業利用がなかなか進まない要因となっている。
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