PV trend 2023太陽光発電市場に関するリサーチ・コンサルティング会社である米SPVマーケットリサーチ(SPV Market Research)の最新レポート「ソーラーフレア(Solar Flare)」によると、2022年の全世界における太陽電池出荷量は、結晶シリコン系と薄膜系を合わせ、前年比46%増の283GWに大きく拡大した(図)。  

2022年のメーカー別市場シェアは、SPVマーケットリサーチのデータによると、1位は、農業や新エネルギーを主力事業とする中国・通威集団傘下のシリコン系太陽電池メーカーである通威太陽能(Tongwei Solar)でシェアは14%。2位は中国JAソーラー(JA Solar)、3位は中国のアイコ・ソーラー・エナジー(Aiko Solar・愛旭太陽能科技)、4位は中国・隆基緑能科技(Longi)、そして、5位は中国・ 晶科能源(Jinko Solar)と、相変わらず中国メーカーがトップ5を独占している。

 レポートによると上位5社の合計は、総出荷量の56%と半分を超えている。  
上位5社だけでなく6位から9位も中国メーカーが占めており、ようやく10位にCdTe(テルル化カドミウム)型化合物系太陽光パネルの供給では世界トップの米ファースト・ソーラーが食い込んだ。





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2022年の出荷量のシェアを国別に見てみると、1位は引き続き中国で、全世界出荷量の71%を占めた。かなりの差を空けて、2位はマレーシア、3位はベトナムとなっている。

出荷量をテクノロジー別に見てみよう。SPVによると、2022年総出荷容量の実に97%は単結晶シリコンが占めた。多結晶シリコンは1%を切ったのみならず、結晶系以外のテクノロジーである薄膜太陽電池のシェアさえも下回った。

 単結晶シリコンの「完全支配」のみならず、もう1つの変化は、n型単結晶シリコンが、p型単結晶シリコンを抜いて、総出荷容量の半分以上を占めたことだ。

 2012年に中国などのメーカーは、「裏面不動態型セル」(PERC: Passivated Emitter and Rear Cell)を生産品目に加え始めた。当初、PERCには「単結晶」シリコンを使った製品と、「多結晶」シリコンを使った製品の両方があったが、2015年から単結晶シリコンを使ったp型PERCの生産能力を増やし始め、2019年にはp型PERCの本格的な生産が拡大し、出荷量も大きく増加した。

 しばらくは「p型単結晶」セル(発電素子)が大きなシェアを占めていたが、その地位も長くは続かなかった。「n型単結晶」セルがじりじりとシェアを伸ばし始め、ついにはp型単結晶を上回った。

 「n型単結晶」シリコンの高効率化技術にはいくつかあり、HJT(Heterojunction technology:超高効率ヘテロ結合技術)、IBC( Interdigitated Back Contact: バックコンタクト/裏面電極)、n型PERC、n型PERT(Passivated Emitter and Rear Totally diffused:n型不動態化エミッタおよび裏面全拡散型)、そしてTOPCon(Tunnel Oxide Passivated Contacts: 量産型トンネル酸化膜パッシベーションコンタクト)などがある。

 レポートによると、2022年「n型単結晶シリコン」の中で最もシェアが高かったのはTOPConで、2022年の出荷量は前年比440%で拡大、そして同技術を使用した太陽電池生産能力は前年比412%で拡大し、今後も拡大が続きそうだ。

 さらに、SPVマーケットリサーチの創業者・チーフマーケットリサーチアナリストであるポーラ・ミンツ氏によると、1975年から2022年の間で、全世界の累積太陽電池出荷量は1000GW、つまり1TW(テラワット)を超え、「テラワット時代」に突入した。実際の累積出荷量は、1.2TWに達した。

 ミンツ氏は、2年以内に世界累積出荷量は2TWに達すると予測している。

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