NHK 3D z02NHK放送技術研究所(技研)は2023年6月1~4日に開催した「技研公開2023」で、水平方向が30度という広い視域角(再生像が見られる範囲)を実現したホログラフィックディスプレーを初公開した。

 画素ピッチが1μmと小さい、世界最小サイズの「磁気光学式空間光変調器(MOSLM:Magneto Optic Spatial Modulator)」を開発し、3次元映像の表示に成功した。  

専用のメガネを使わずに複数人が裸眼で同時に3次元映像を見られるホログラフィックディスプレーは、世界で開発が進められている。原理的には、光の強度や位相の分布を変調する空間変調器(SLM)に干渉縞(かんしょうじま)を表示し、ここに再生用のレーザー光を照射することで3次元映像を再生する。干渉縞を書き換えることで表示内容を変える。 このとき、SLMの画素のサイズは視域角に直結し、画素サイズが小さいほど視域が広くなる。再生照明の回折光が、画素が小さいほど広がるためである。  

しかし、従来のSLMは画素のサイズが大きいために、視域角が狭いことが課題だった。例えばSLMに反射型液晶プロジェクターの「LCOS(Liquid Crystal On Silicon)」を使うタイプでは視域が10度、集積回路上にマイクロミラーを配列した「DMD(Digital Micromirror Device)」を使うタイプは同7度である。





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このとき、SLMの画素のサイズは視域角に直結し、画素サイズが小さいほど視域が広くなる。再生照明の回折光が、画素が小さいほど広がるためである。

 しかし、従来のSLMは画素のサイズが大きいために、視域角が狭いことが課題だった。例えばSLMに反射型液晶プロジェクターの「LCOS(Liquid Crystal On Silicon)」を使うタイプでは視域が10度、集積回路上にマイクロミラーを配列した「DMD(Digital Micromirror Device)」を使うタイプは同7度である。