SID 2023 SSzu1 2023年5月21~26日、ディスプレー技術の学会・展示会「Society for Information Display(SID) Display Week 2023」が、米国ロサンゼルスコンベンションセンターで開催された。Display Weekは、ディスプレー技術の祭典と呼ぶべきもので、最新の技術発表とともに展示が行われ、現時点での最新技術を知る上で有益である。  

今回からオンライン形式でのサービスが無くなってしまった。そのため、あらかじめ綿密に計画を立ててしっかり聴講しないと、重要な発表を聞き逃してしまう恐れがある。発表時間が重なってどうしても参加できなかった発表については、オーサーズインタビューで直接発表者に質問するしかない。そもそもこれが本来の形であり、会場の熱気も感じやすい。大事な発表を聞き逃さぬよう、適度な緊張感を持って会場を移動するのも楽しいものである。筆者はこの形態こそが学会の正しい姿だと思う。





 毎年5月に米国で開催されるDisplay Weekも、新型コロナウイルス禍で直近の3年間は論文数も参加者数も伸び悩んだ。しかし、今回の投稿論文数は2022年の526件に対して639件と21%の大幅増加で、展示会のブース数にいたっては131から186へと42%もの大幅増加となった。Display Week全体の参加者数も5000人を超えたそうだ。会場は熱気に包まれており、体感的にはほぼ新型コロナ禍前の水準並みに回復したように感じた。筆者が興味を持った展示について紹介する。

 4年前のDisplay Week 2019では韓国Samsung Displayの展示ブースが無くなったことに驚いたが、今回は韓国LG Displayと並んで会場正面の一番いい場所に大型のブースを構え、しかも大型の量子ドット有機EL(QD-OLED)パネルを何台も並べた派手な展示で存在感を示していた。QD-OLED技術でOLED TV市場でLGに真っ向勝負するのだという力強いメッセージを感じさせる展示であった。コスト競争では中国勢に勝てなくなりつつある中で、技術開発競争ではまだまだ先行者メリットを享受できる立ち位置にいるのだから、それを最大限活用してビジネスで勝つのだという戦略は正しいと思うが、問題はあと何年そのリードを維持できるかという点であろう。

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