九州大学pc page● 希土類錯体は色再現度の高いディスプレイなどの発光材料への応用が期待されているが、その薄膜中における発光機構が不明なことが新規デバイス開発のボトルネックとなっていた。
● 三価ユウロピウム(Eu(III))錯体を用いた薄膜における発光機構を1兆分の1秒の時間分解能で逐次解析することによって詳細に明らかにした。
● 発光機構を基に薄膜内の光エネルギー移動効率100%、錯体単体と比較して400倍の発光強度を達成した。

 発光性希土類金属錯体は色鮮やかな発光を示すことから、色再現度の高いディスプレイや視認性の高いセンサーなどを実現するための発光材料として期待されています。多くの実用的な発光デバイスは薄膜状であることから、その実現のためには薄膜中における希土類錯体の高効率・強発光を達成することが重要となります。しかし、このような状態における希土類錯体の発光機構が未解明であることが開発のボトルネックとなっていました。





 


今回、九州大学大学院理学研究院の宮崎栞大学院生、宮田潔志准教授、恩田健教授らは、同大学大学院工学研究院の合志憲一助教、安達千波矢教授、北海道大学大学院工学研究院の北川裕一准教授、長谷川靖哉教授らと共同で、三価ユウロピウム(Eu(III))錯体を用いた薄膜における発光過程を1兆分の1秒の時間分解能で逐次解析することによって、その機構を詳細に解明しました。

さらにその機構に基づき、薄膜内の光エネルギー移動効率100%、錯体単体と比較した発光強度400倍を達成することに成功しました。

今回明らかにした薄膜中における発光機構およびそれに基づいた材料設計によって、希土類錯体を用いた新たな高効率発光デバイスを戦略的に開発できるようになることが期待されます。  本研究成果は、2023年5月29日(月)に英国Royal Society of Chemistryの国際学術誌「Chemical Science」にオンライン掲載されました。

※記事の出典元はツイッターで確認できます⇒コチラ