Sharp 2023シャープは27日、堺市内で定時株主総会を開いた。株主からは、6年ぶりの赤字の原因となった液晶パネル製造の「堺ディスプレイプロダクト(SDP)」(堺市)の完全子会社化の是非を問う厳しい質問が相次いだ。これに対し、呉柏勲(ごはくくん)社長兼最高経営責任者(CEO)は「当時の(経営陣の)判断は不合理とはいえない」と説明。今期の黒字化に向け、事業改善に取り組む考えを示した。

「子会社化は(前社長の)戴正呉(たいせいご)氏らが決めたのか、鴻海(ほんはい)の意向なのか。責任を明らかにすべきだ」 総会では株主から、このような声が挙がった。





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これに対し、呉氏は「子会社化のプロセスは外部の専門家の意見も聞きながら、取締役会で決定した」と正当性を強調。

「想像を上回る景気の変化、ロシアのウクライナ侵攻の長期化、米中の対立やインフレなどの影響を受けて大幅な業績の悪化となった」と述べ、想定外の市場環境の悪化が重なったとした。

シャープのOBだという株主からは、赤字に伴い前期配当を無配としたことや株価の低迷について「私がいたころのシャープの面影はない。われわれが頑張って作ってきたシャープをつぶさないでいただきたい」との意見も。

呉氏は「新規事業を推進し、ゲームチェンジャーとなるようなものを開発していく」と話し、業績の向上が株価上昇につながるとした。

シャープの令和5年3月期の連結決算は、最終損益が2608億円の赤字(前期は739億円の黒字)に転落。赤字は平成29年3月期以来6年ぶりとなる。

令和4年6月に海外ファンドから買い戻して完全子会社化したSDPの業績が悪化し収益性が下がるなどし、減損損失を計2205億円計上したことが響いた。

SDPは液晶事業強化を目的に平成21年にシャープの子会社として設立されたが、過剰投資によって経営危機を招いた。28年に台湾の鴻海精密工業の傘下に入り、構造改革の一環でSDP株の大半を手放した経緯がある。

株主総会には160人(前回110人)が参加し、時間は前回の約1・6倍の98分に及んだ。動画投稿サイト「ユーチューブ」の共同創業者の陳士駿(ちぇんしじゅん)氏を含む取締役7人を選任した。

総会後に行われた事業説明会では、赤字の原因となっている液晶パネル事業について、スマートフォンやタブレットなどの需要が減少している分野を縮小すると発表。車載や仮想現実(VR)などの高成長分野へのシフトに加え、次世代自発光ディスプレーや電子ペーパーなどの新規ビジネスに注力する方針を示した。

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