韓国財閥LGの総帥に具光謨(ク・グァンモ、45)氏が就任して5年たった。車載電池など自動車を軸にグループを再編し、赤字続きだったスマートフォン事業の撤退も決めた。ただ現状は古参幹部の判断を仰ぐことが多い。赤字が急拡大するディスプレー事業の抜本改革には経営トップの迅速な決断が問われる。
「私がどんなことをすれば良いのか、忖度(そんたく)なく話してほしい」――。具会長はグループ企業の工場や研究所を訪れる際、役職員にこうした言葉を投げかけてきた。現場の意見を聞く姿勢は、6月下旬で就任から丸5年がたった今も変わらない。
韓国財閥は経営トップによる強いリーダーシップによって巨大グループを導く傾向が強い。これに対してLGは「人和経営」を掲げ、例外的にボトムアップ型の企業文化が根付く。外部人材の登用など柔軟な組織運営で事業領域を広げてきた歴史がある。
「私がどんなことをすれば良いのか、忖度(そんたく)なく話してほしい」――。具会長はグループ企業の工場や研究所を訪れる際、役職員にこうした言葉を投げかけてきた。現場の意見を聞く姿勢は、6月下旬で就任から丸5年がたった今も変わらない。
韓国財閥は経営トップによる強いリーダーシップによって巨大グループを導く傾向が強い。これに対してLGは「人和経営」を掲げ、例外的にボトムアップ型の企業文化が根付く。外部人材の登用など柔軟な組織運営で事業領域を広げてきた歴史がある。
具光謨氏は、先代会長の具本茂(ク・ボンム)氏の死去によってLG電子常務だった40歳でLG財閥の総帥に就任した経緯がある。就任時も「これまでLGが築いてきた資産を継承・発展させていく」とのコメントを出しただけで、公の場での発言が注目されることは少ない。
報道資料を通して発表される会長コメントには「顧客価値第一」といった先代から引き継いだ経営方針が並ぶ。就任から5年がたった今もなお、具光謨会長の「顔」は見えないままだ。
それでも足元では、古参幹部と外部出身の経営陣が取り仕切るグループ経営は順調に進む。
LG成長のけん引役は車載電池だ。同事業を手がけるLGエネルギーソリューションは先代会長の右腕だった権暎寿(クォン・ヨンス)氏が最高経営責任者(CEO)を担う。LGエネの6月末の時価総額は129兆ウォン(14兆円)にのぼり、長兄格のLG電子の6倍。グループ内の上場企業11社の時価総額合計の55%を占める。
LGエネの上場を主導したのは、同社株の81.8%を持つLG化学だ。米スリーエム(3M)でグローバル事業を統括していた辛学喆(シン・ハクチョル)氏がCEOを務め、LGエネ上場後のLG化学の成長戦略を推し進める。辛氏は具光謨氏の会長就任半年後に迎え入れた人物だ。
LG電子でも21年就任の曺周完(チョ・ジュワン)CEOが主導する形で、白物家電とテレビに次ぐ事業の柱として車載事業の育成を急ぐ。電気自動車(EV)用モーター事業でカナダの車部品大手と合弁を組み、独ボッシュなどから経営幹部を引き抜いて車大手の顧客開拓を託す。22年には車載部門を初めて黒字転換させた。
EV普及の追い風を受けた自動車関連事業はこの5年間で急拡大した。その一方で、縮小・撤退の動きは鈍かった。
21年に撤退を決めたスマホ事業は、6期連続で赤字を計上していた。中国企業の躍進からシェア低下が続き、有効な挽回策を打ち出すことができないまま6年間で計5000億円規模の赤字を垂れ流した。そして今、LGグループはディスプレー事業の巨額赤字に直面している。同事業を手がけるLGディスプレー(LGD)は22年12月期に過去最大となる3兆1960億ウォンの最終赤字を計上。スマホ同様にコモディティー(汎用品)化と中国勢の躍進を受け、黒字化の道筋は見えない。
LG電子によるスマホ事業撤退の判断には、社内の車載部門が雇用の受け皿になるとの目算が立った。しかしディスプレー事業の構造改革にはLGDの国内従業員約3万人の雇用をどう維持するかといった難問もついて回る。
LGDはかつて日本の電機大手を追い落として世界大手になった。そのLGDが今度は中国勢の攻勢にシェアをじわり奪われている。
赤字を計上し続けたうえ、撤退の判断が遅れたスマホの「二の舞い」は避けたいが、苦境における経営判断は痛みを伴うことが多く、一層難しい。こうした時こそ経営トップのリーダーシップが必要だ。ディスプレー事業の止血策で、具光謨氏の胆力が試されることになる。
LG初の「お家騒動」浮上 相続巡り
会長就任5年を迎え、経営体制が固まったLGに新たな問題が浮上した。具光謨会長を相手取って、母親と妹2人が相続権を侵害されたとして保有株の譲渡を求めて訴訟を起こした。7月中に初公判が開かれる予定で、仮に主張が認められれば、具会長のLG株の保有比率が低下する恐れがある。
LGには創業家の長男が代々経営トップに就く不文律がある。先代会長には跡継ぎがおらず、おいにあたる具光謨氏を養子に迎えた経緯がある。先代会長の遺産のうち、LG株の大半は戸籍上の長男である具光謨氏が相続した。これに先代会長の妻と実子の娘2人が今になって異議を唱えた。 現在の具光謨氏のLG持ち株会社の保有比率は15.95%。韓国の法律に沿って相続し直せば同氏の持ち株比率は10%以下に低下し、母と妹2人を合わせた持ち株数を下回るリスクがある。
韓国財閥ではサムスンや現代、ロッテなどで創業家の対立が経営の混乱を招いてきた。こうした対立劇と無縁だったLGで起きた初めてのお家騒動。LGは「相続は18年に適法に完了している」とするものの、統治体制が揺らぎかねないリスクを抱えることになった。
※記事の出典元はツイッターで確認できます⇒コチラ
LG初の「お家騒動」浮上 相続巡り
会長就任5年を迎え、経営体制が固まったLGに新たな問題が浮上した。具光謨会長を相手取って、母親と妹2人が相続権を侵害されたとして保有株の譲渡を求めて訴訟を起こした。7月中に初公判が開かれる予定で、仮に主張が認められれば、具会長のLG株の保有比率が低下する恐れがある。
LGには創業家の長男が代々経営トップに就く不文律がある。先代会長には跡継ぎがおらず、おいにあたる具光謨氏を養子に迎えた経緯がある。先代会長の遺産のうち、LG株の大半は戸籍上の長男である具光謨氏が相続した。これに先代会長の妻と実子の娘2人が今になって異議を唱えた。 現在の具光謨氏のLG持ち株会社の保有比率は15.95%。韓国の法律に沿って相続し直せば同氏の持ち株比率は10%以下に低下し、母と妹2人を合わせた持ち株数を下回るリスクがある。
韓国財閥ではサムスンや現代、ロッテなどで創業家の対立が経営の混乱を招いてきた。こうした対立劇と無縁だったLGで起きた初めてのお家騒動。LGは「相続は18年に適法に完了している」とするものの、統治体制が揺らぎかねないリスクを抱えることになった。
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