Screenshot 2023-07-18 11.10.06「いまの中国・韓国・台湾の製造業を育てた功労者は、日本企業を早期退職してそれらの国の企業に行った中高年の人材です。その間、日本は依然として新卒社員の育成に力を入れていた。日本の製造業を復活させるのは“おじさん世代”なのです」。

そう語るのは、シャープ社長や日本電産副社長を歴任してきた片山幹雄氏だ。日本の製造業は元気がないと言われて久しいが、原因として、片山氏は自身の経験から「日本企業の陥った6つの罠」を挙げる。冒頭の人材に関するコメントもこの文脈で出てきた言葉だ。

そして新しいイノベーションの波に備えて、今後の日本企業は6つの罠に対して冷静にポジショニングを定めることが重要だと伝える。





――日本の製造業の現状についてどう見ていますか。

片山幹雄氏(以下敬称略) 失われた30年を経て、日本の製造業は特に元気がないと言われています。なぜそうなったのか。私はシャープや日本電産での経験からそれには「日本企業の陥った6つの罠」があり、その対策を取ることが重要だと考えています。

――具体的に教えてください。

片山 1つ目は「スケールのジレンマの罠」です。日本では売上高が1兆円規模 の企業が多数誕生しました。しかし、そのスケールのまま繁栄を続けている企業は少ないのが実情です。なぜなら、企業は大きくなると環境変化への強さや人材確保、資金力などの面でメリットが生まれる反面、動きが遅く縦割りで、ヒト・モノ・カネの流動性に欠けるといったデメリットも生じます。1兆円規模の会社をマネジメントできる人材も少ない。

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