富士紡ホールディングスは28日、2024年3月期第1四半期(23年4月-6月)連結決算を発表した。売上高が前年同期比11.7%減の85.11億円、営業利益が同73.0%減の4.49億円、経常利益が同55.8%減の7.59億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同51.1%減の5.74億円となった。

研磨材事業の売上高は前年同期比33.0%減の27.88億円、営業利益は同91.3%減の0.94億円となった。主力の超精密加工用研磨材は、シリコンウエハー用途および半導体デバイス用途(CMP)などにおいては、世界的な需要減速を背景に、主要半導体メーカー各社がグローバル市場の急激な変化に対応すべく、在庫調整・削減の取り組みを優先しており、需要が低迷し、大きな受注減に直面した。

加えて、ハードディスク用途は、パソコンおよびデータセンター向けの需要減退により、顧客の稼働が大きく低下し受注は減少した。また、液晶ガラス用途においてもパネルメーカーの在庫過多から顧客の減産および在庫調整の影響により受注は減少した。





化学工業品事業の売上高は同2.6%増の31.52億円、営業利益は同54.1%減の1.44億円となった。機能性材料、医薬中間体および農薬中間体などの受託製造は、海外生産リスクの顕在化による化学工業品生産の日本国内回帰の傾向は続いたものの、半導体を含む電子材料需要減速の影響を受け、一部機能性材料ユーザーの需要減退により、受注が減少した。

生活衣料事業の売上高は同2.6%減の17.44億円、営業利益は同3.3%増の2.04億円となった。繊維素材は、ウクライナ・ロシア情勢を要因とした原油価格上昇に伴う物流や原材料のコスト高と、円安に伴う部材調達や海外製造の高騰がさらなる追い打ちをかけ、厳しい環境が続いた。一方、繊維製品は、より収益性の高い製品への絞り込みに加え、多様化する顧客ニーズや市場動向に応じ、EC販売やデジタルマーケティングを強化することで、販売が堅調に推移した。

その他の売上高は同36.3%増の8.26億円、営業利益は同88.9%減の0.07億円となった。化成品部門は、医療用プラスチック市場の回復により、医療機器用部品の受注を中心に堅調に推移した。金型部門では、2022年11月1日付で取得し連結対象となった金型子会社が貢献し、売上高が前年同期比で増加した。貿易部門は、より収益性、安全性の高い取引に対象を絞り、収益性の精査を図るとともに、採算性の改善に取り組んだ。一方、利益については、各部門とも減益となった。

2024年3月期通期の連結業績予想については、売上高が前期比4.2%減の361.00億円、営業利益が同39.5%減の29.50億円、経常利益が同33.6%減の33.50億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同35.3%減の22.00億円とする期初計画を据え置いている。 

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