高金利と輸出実績悪化などで上半期に韓国大企業の懐事情が厳しくなっている。「非常資金」の役割をする現金性資産が上半期だけで15兆ウォン(約1兆6551億円)ほど減った。このように懐事情が不如意になると企業は別の企業の保有株式を売却したり、海外法人の本社配当額を増やすなどして「実弾」の確保に乗り出している。

中央日報が売り上げ上位20社(金融会社と公企業除外)の今年の半期報告書を分析した結果、これら企業の現金と現金性資産(短期金融商品含む)は210兆2701億ウォンとなった。昨年末の225兆1717億ウォンと比較すると6カ月で14兆9016億ウォン減少した。企業売り上げ順位はCEOスコアの集計を活用した。

現金性資産が多い企業は資産総額基準で財界1位のサムスン電子の97兆999億ウォンだ。ヒョンデ(現代自動車)が28兆4923億ウォン、起亜(キア)が16兆2173億ウォン、ポスコホールディングスが13兆8462億ウォンなどと続いた。





このほかLGエレクトロニクスが7兆2386億ウォン、LG化学が6兆8461億ウォン、SKハイニックスが6兆4825億ウォン、ハンファが5兆4945億ウォン、サムスン物産が5兆522億ウォンと5兆ウォンを超える現金性資産を保有していた。上半期に現金性資産が最も多く減ったのもサムスン電子だった。昨年末の114兆7835億ウォンから6月末には97兆999億ウォンに17兆6836億ウォン減少した。

同じ期間に現金保有額が増えた企業もある。起亜が2兆6092億ウォン、ヒョンデが1兆8528億ウォン、SKハイニックスが1兆899億ウォン、SKエネルギーが1兆819億ウォンなどだ。増加率が最も大きい企業はHD現代オイルバンクで、1764億ウォンから5208億ウォンに195.2%増えた。

企業の「非常資金」が減ったのは、コロナ禍が終わった直後だ。コロナ禍に入りリスク管理次元でこれら企業の現金保有額は昨年末まで増加したが、今年に入ってからは減り続ける傾向だ。世界的な景気低迷と半導体サイクルの下落局面、中国の経済再開効果不振などにより、積み上げた現金が急速に減ったと分析される。

「実弾」が減り収入状況も悪化しているが、企業が支出しなければならない部分は増加している。韓国の産業の主力分野である半導体やバッテリーなどは典型的な装置産業で、投資が先行しなければならない。米国のインフレ抑制法と供給網再編などに備えるには設備投資を増やさなければならない。非常資金をはたいて投資しなければならない状況だ。

こうした状況から各企業は対策に腐心している。4大グループは流動性悪化を解決するため6~7月に開かれた下半期戦略会議で世界的な景気低迷など複合危機状況への対応策を話し合った。半期報告書によると、サムスン電子はオランダの半導体装備企業ASMLの株式を売却し約3兆ウォンの資金を確保したと推定される。海外法人の配当金も増やしている。上半期に海外法人の本社配当額は過去最大となる21兆8457億ウォンを記録した。昨年上半期の1378億ウォンより158倍増えた。サムスン電子は2月に子会社であるサムスンディスプレーから20兆ウォンを短期で借り入れた。

財界関係者は「高金利と輸出悪化などで企業の営業キャッシュフロー創出能力が落ちた上に、金利の影響で財務健全性を高めるために企業が借入金も減らしている。現金が回らず短期投資などに必要な実弾を装填できない格好」と話した。

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