有機ELテレビでこの8月、パナソニックが販売台数シェア30.2%を記録。2年ぶりに首位を奪還した。2位シャープと7.8ポイント差をつけて頭一つ抜け出した格好だ。7月にはTVS REGZAと僅差で2位にとどまったが、競合を突き放してトップシェアを獲得した。全国の家電量販店やオンラインショップの実売データを集計するBCNランキングで明らかになった。
パナソニックが有機ELテレビでトップシェアを獲得したのは2021年7月が最後。1年遅れで開催された東京オリンピックのタイミングだった。公式スポンサーとして大規模なプロモーションを実施した効果で販売台数シェア39.5%を記録。当時の2位ソニーに9.1ポイント差でトップを獲得した。ところが、これ以降シェアは下落。22年9月には11.8%の4位まで落ち込んだ。反転攻勢が始まったのは今年に入ってから。1月のシェア12.2%からスタートし、急速にシェアを回復。7月には24.6%と、トップTVS REGZAと0.1ポイント差の2位まで回復していた。
パナソニックが有機ELテレビでトップシェアを獲得したのは2021年7月が最後。1年遅れで開催された東京オリンピックのタイミングだった。公式スポンサーとして大規模なプロモーションを実施した効果で販売台数シェア39.5%を記録。当時の2位ソニーに9.1ポイント差でトップを獲得した。ところが、これ以降シェアは下落。22年9月には11.8%の4位まで落ち込んだ。反転攻勢が始まったのは今年に入ってから。1月のシェア12.2%からスタートし、急速にシェアを回復。7月には24.6%と、トップTVS REGZAと0.1ポイント差の2位まで回復していた。
パナソニックがトップシェアを奪還した最大の要因は「敵失」だ。2021年8月以降23カ月連続で首位を維持していたのはソニーだった。原動力は、21年6月に発売した55型の「XRJ-55A80J」。発売当初の平均単価(税抜き、以下同)は24万6000円。25万円を切る価格ながら、画質や音、筐体のデザインがいいと評価が高かった。発売月から21年10月までは販売台数ランキングで2位、さらに、21年11月から23年5月まで19か月の間、販売台数ランキングで1位を維持する大ヒット商品になった。その間平均単価も徐々に下がり、この8月には15万6000円まで下落。手ごろな製品としても人気を集めていた。発売から丸2年を超えたこともあって、この春生産を終了。7月には販売台数が激減した。後継モデルとして「XRJ-55A80K」を22年8月、さらに「XRJ-55A80L」をこの4月にリリースした。しかし後継モデルへのスイッチに失敗。平均単価が急上昇し、ソニーは販売台数シェアを激しく失う結果になった。
ソニーのヒット商品が市場から消え、生じた空白に滑り込んだのが、シャープ、TVS REGZA、パナソニックの3社だ。シャープは「4T-C55EQ1」、TVS REGZAは「55X8900L」と、いずれも20万円を切るモデルの売り上げを大幅に伸ばした。一方パナソニックは、単価が25万円を超える「TH-55LZ2000」の販売を大幅に伸ばしたうえ、20万円を切る「TH-55LZ1800」、48型の「TH-48LZ1800」も販売を拡大。ラインアップの面展開で、ライバルを抜き去った。8月の平均単価を見ても、シャープは17万5000円、TVS REGZAは18万1000円。一方パナソニックは24万5000円で、一段高い製品が受け入れられていることが分かる。敵失に乗じながらも、しっかりチャンスをモノにできたのは、価格の安さだけでない、製品の魅力がモノを言ったことが分かる。
パナソニックエンターテインメント&コミュニケーション 国内マーケティング部テレビ課の藤永勇樹 主幹に、同社の快進撃の理由を尋ねると「特に考え方を大きく変えたわけではないが、有機ELの中でも特に高付加価値モデルに力を入れている。ネット動画も含め、いいテレビで映像を楽しみたいと考える人たちが増え、そうしたニーズにマッチしているのではないか」と話す。「プラズマテレビ時代から自発光パネルにこだわってきた。現在も独自開発の有機ELパネルを使っている。例えば画面焼き付きの防止などプラズマ時代から連綿と続く技術が今に生きている」とも。競合各社はテレビのフラグシップモデルについて液晶と有機ELの2トップ戦略をとっているところが多い。2トップといえば聞こえがいいが、液晶と有機ELのどちらがいいか、なかなかわかりにくい。一方パナソニックは「視聴環境によっては液晶の方がいい場合もあるが、基本的に自発光の有機ELテレビが一番いい」(藤永 主幹)と言い切る。この点は消費者にとっても明快で分かりやすい。
パナソニックはネット動画への取り組みも早かった。11年モデルから「ビエラ・コネクト」を搭載。当時から放送波もネット動画も区別なくシームレスに楽しんでほしいというコンセプトは変わっていない。藤永 主幹は「テレビのOSも独自に開発している。ネット動画であろうが、放送波のコンテンツであろうが、同じような感覚で番組を選べるように工夫している」と話す。そのほか同社では生活に溶け込むテレビ「くらしスタイル」シリーズも展開。石膏ボードにも設置できる壁掛けテレビやアンテナ線がないレイアウトフリーテレビなどもラインアップする。将来的には「電源を切ると単に大きな黒い板、というテレビの現状もどうにかしたい」(藤永 主幹)と、新たなテレビの可能性についても語った。他社とは一味違うテレビの在り方も模索しているパナソニック。有機ELテレビで息を吹き返した余勢を駆って、コロナ特需の反動減に苦しむテレビ市場に新しい風を吹かせることにも期待したい。
※記事の出典元はツイッターで確認できます⇒コチラ
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