sh230920_jtss01台湾の国家発展委員会(NDC:National Development Council)が後援するStartup Island TAIWAN(以下、SIT)は2023年9月14~15日、日台間の産業分野における協業機会創出を目的としたイベント「日本・台湾スタートアップサミット 2023」(以下、日台サミット)を開催した。会場では、SaaS(Software as a Service)/セキュリティ/ヘルステック/AI(人工知能)の4分野から、約40社の台湾スタートアップ企業が出展し、日本市場進出に向けたプレゼンテーションを行った。

出展した40社には、日本・台湾・韓国を中心に詐欺電話撃退のためのネットワークサービス構築を目指すGogolookや、腱修復手術の大幅な時間短縮を可能にする使い捨て低侵襲手術器具を製造するアストロンメドテック、ドローン防衛システムを扱うトロンフューチャーテックなどがある。

 例えば、QT Medicalは、医療レベルの12誘電心電図(ECG)システムを手掛けるベンチャー企業だ。同社のECGシステムは、充電可能でコンパクト(7.2×6.8×1.8cm)な設計で、専用の電極と接続し、電極を皮膚に貼るだけで心電図計測が可能だ。心電図計測は最短1分で完了。計測結果は、HIPAA(米国)やGDPR(EU)に準拠した安全なクラウドシステムで保護/転送され、専用のアプリおよびクラウドから確認できる。





 QT Medicalの担当者は「当社のECGは、非医療関係者でも簡単かつ短時間で心電図計測できることが特長だ。一方で、計測結果の読影には医療知識が必要なため、医療関係者や医療関係者の指示を受けた患者が活用することを想定している」と説明した。既に海外では活用されていて、台湾では救急車での救急搬送中のバイタルチェックなどで使用されている他、米国では患者の術後の経過観察や遠隔診療に使用されているという。その他、人工透析中の患者への使用や、飛行機や船舶などの乗り物内での使用も想定できるとしている。

オープニングセッションでは、NDC主任委員(日本における「大臣」に相当)のMing-Hsin Kung氏や、衆議院議員で自民党政務調査会長の萩生田光一氏が登壇。スタートアップ支援における日台それぞれの取り組みの紹介や、日台の友好関係を強調していた。

Kung氏は「日本は、台湾にとって最高の友人だ。日本と台湾はスタートアップ関連政策の方針が似ているため、今回の日台サミットをはじめとした産業交流に力を入れている。台湾のスタートアップは質が高いといわれる反面、市場が非常に限られている。日本と協力することで、台湾企業の日本進出はもちろん、日台共同で東南アジアへの進出を目指す」と述べた。

 萩生田氏は「台湾は、志を同じくするかけがえのないパートナーだ。日台関係は、TSMCの熊本工場建設で注目されているが、他の分野でも引き続き連携を深める方針だ」と説明。日本政府が2022年を「スタートアップ創出元年」と定め、「スタートアップ育成5か年計画」を策定したことに触れ、「日本発のスタートアップ企業はもちろん、台湾を含む国外発のスタートアップで、日本市場への進出を検討する企業にも日本の制度を活用してどんどん挑戦してもらいたい」と語った。

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