中国の太陽光パネル大手の天合光能(トリナ・ソーラー)は9月11日、アメリカのテキサス州に2億ドル(約294億円)超を投じて太陽電池モジュール工場を建設すると発表した。新工場の生産能力は年間約5GW(ギガワット)、2024年の生産開始を目指している。
天合光能は同じく中国の晶科能源(ジンコソーラー)、隆基緑能科技(ロンジ)に続く世界第3位の太陽光パネルメーカーだ。同社によれば、新工場は(中国ではなく)アメリカとヨーロッパから調達した多結晶シリコンを使って生産を行い、地元に1500人の雇用を創出するという。
■中国大手5社がこぞって進出
今回の天合光能の発表により、2023年に入って中国の大手5社がすべてアメリカでの工場建設計画を打ち出した格好だ。晶澳太陽能科技(JAソーラー)は2023年2月、約11億4000万元(約230億円)を投じてアメリカに年間生産能力2GWの太陽電池モジュール工場を建設すると、投資家向けの情報開示で明らかにした。
天合光能は同じく中国の晶科能源(ジンコソーラー)、隆基緑能科技(ロンジ)に続く世界第3位の太陽光パネルメーカーだ。同社によれば、新工場は(中国ではなく)アメリカとヨーロッパから調達した多結晶シリコンを使って生産を行い、地元に1500人の雇用を創出するという。
■中国大手5社がこぞって進出
今回の天合光能の発表により、2023年に入って中国の大手5社がすべてアメリカでの工場建設計画を打ち出した格好だ。晶澳太陽能科技(JAソーラー)は2023年2月、約11億4000万元(約230億円)を投じてアメリカに年間生産能力2GWの太陽電池モジュール工場を建設すると、投資家向けの情報開示で明らかにした。
3月には、隆基緑能科技がアメリカ企業と提携し、総額6億ドル(約882億円)超を投じて年間生産能力5GWの太陽電池モジュール工場を建設すると発表。4月には晶科能源がアメリカの既存工場の生産能力を1GW拡張すると明らかにし、6月には中国系カナダ企業の阿特斯陽光電力集団(カナディアン・ソーラー)が、2億5000万ドル(約367億円)超を投じて生産能力5GWの太陽電池モジュール工場を建設すると発表した。
太陽電池モジュールの生産能力において、中国は全世界の約8割を占めている。中国メーカーは製品の半分以上を海外市場に輸出しており、なかでもアメリカは利益率が最も高い市場のひとつだ。天合光能の開示資料によれば、2022年のアメリカ市場での粗利率は16%。これに対し、中国市場の粗利率は13.5%、ヨーロッパ市場は12%にとどまる。
とはいえ、アメリカ市場でのビジネスは中国メーカーにとってリスクも伴う。アメリカのバイデン政権は2022年8月、再生可能エネルギーと気候変動対策の分野に巨額の補助金を支給し、関連産業にアメリカ国内への投資を促す「歳出・歳入法(インフレ抑制法)」を成立させた。
これを機に、アメリカの太陽光パネル業界では生産能力を拡大するための投資ラッシュが起きている。アメリカ太陽光パネル産業協会の予測によれば、アメリカの生産能力は2023年だけで前年の5割増しの32GW増加する見通しだ。
■迂回輸出封じられ減損計上
しかし、中国メーカーがアメリカ市場の高い利益率、手厚い補助金、急拡大する需要を享受するためには、アメリカに工場を建設して現地生産する必要がある。換言すれば、アメリカ政府の保護貿易的な政策のおかげで、(中国からの輸出頼みでは)アメリカでの市場シェア獲得が困難になっているのだ。
例えば隆基緑能科技は、8月30日に発表した半期決算で、2023年1~6月期に棚卸資産評価損と契約履行コストの減損損失として17億5000万元(約353億円)を計上した。
同社の説明によれば、この損失の主因は2022年末から2023年初めにかけて(第三国経由で)アメリカ向けに輸出した製品の通関が差し止められたことだ。これらの製品は海外の倉庫に滞留した後、やむなく中国に持ち帰り、国内市場での在庫処分を余儀なくされたという。
※記事の出典元はツイッターで確認できます⇒コチラ
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