コニカミノルタ株式会社の研究開発者が、公益社団法人高分子学会より、光学フィルム分野での業績が認められ、2023年度高分子学会フェローの称号を授与されました。

高分子学会は、10,000 を超える会員数を重ねてきた学術団体であり、高分子に関する科学及び技術の基礎的研究及びその実際的応用の進歩、学術文化の発展並びにそれらを担う人材の育成を図ることを目的として設立された公益社団法人です。

フェローの称号は2007年に創設され、アカデミック・企業研究者を問わずこれらの発展に業績をあげ、今後の貢献が期待される会員へ授与されます。





コニカミノルタ株式会社
技術開発本部
久保 伸夫 博士(工学)

「表示画像を支える光機能高分子材料の設計と光学フィルムへの応用」

通信インフラの発展とともにフラットパネルディスプレイ(FPD)が進化する中、コニカミノルタはFPDの1つである液晶ディスプレイ(LCD)に着目し、1990年代後半にLCD用偏光板保護フィルムに用いるTAC(トリアセチルセルロース)フィルム市場に参入しました。その後、LCDの大型化が進むにつれて視野角の改善が望まれ、TACに液晶分子が塗設された「視野角拡大フィルム(位相差フィルム)」が広く市場に普及していました。
久保は、複屈折発現性の高い特定のセルロース延伸フィルムがTACに液晶分子が塗設されたフィルムと「光学的に等価」であることを提唱しました。この特定のセルロース延伸フィルムは、1枚で偏光子の保護と視野角拡大の2つの機能を合わせ持ち、①TACより薄いフィルムで視野角拡大が可能、②TACの製膜工程で生産が可能、③TACと同様に偏光子に水糊で接着が可能、④偏光板に位相差フィルムを貼合する工程が不要、という期待が膨らむ技術でありました。
2000年代に入ると、LCDは大画面テレビへの採用が進み、VA(マルチドメイン型垂直配向)モードLCDの視野角拡大に、この特定のセルロース延伸フィルム技術が適用されました。現在も主力製品に本技術が役割を担っています。
久保は、好ましい表示画像を提供するためにLCDの仕組みを理解し、高分子材料のデザインと親和させることで、極めてシンプルで有用な光学フィルム製品の実現に技術貢献しました。また、当該分野の発展を目指して、技術研究組合や学協会の活動では、光機能に関わる材料領域で公益活動を行い、これらの取り組みが高分子学会に評価されました。

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