韓国原料大手LG化学が液晶パネル部品事業から撤退する。パネル保護フィルムを製造する韓国の2工場の売却手続きが開始された。韓国ではディスプレイ大手がテレビ用液晶パネルの生産から撤退することを決めており、事業縮小傾向は関連部品のサプライヤーにも及んでいる。
原材料分野では中国企業の台頭を受け、LG化学は売却で得た資金を電池材料などの成長分野に投資する。

  LG化学は韓国中部の清州工場と梧倉工場でのディスプレイフィルムの生産を停止し、両工場の売却手続きを開始した。8月下旬には工場従業員を対象とした休業説明会が開催された。LG化学は「事業売却は進められているが、まだ売却先は決まっていない」と明らかにした。







 同社のフィルム事業は営業利益は数百億円とみられるが、中国競合の台頭で収益性が低下している。

      LG化学はグループ会社のLGディスプレイ(LGD)や韓国のサムスン電子に長年液晶フィルムを供給してきた。サムスン電子が液晶パネル生産から完全撤退し、LGディスプレイも韓国でのテレビ用液晶パネルの生産を中止し、主要サプライヤーであるLG化学も関連部品事業から撤退せざるを得なくなりそうだ。

  LCD部品は撤退するが、韓国のサムスンとLGディスプレイの2社がOLEDパネル用の発光材料の80%を依然として支配しており、その事業は存続する。

 液晶パネル分野で韓国企業が日本企業を追い上げていた2000年代、LG化学も液晶部品を成長事業と位置付け、積極的な投資を続けた。しかし、2010年代後半から中国パネルメーカーの台頭により供給が減少。

      LG化学は2020年、液晶部品の「偏光板」事業から撤退し、中国の部品会社シャンシャングループに11億ドルで売却すると発表した。また、中国の南京と広州の偏光板工場も移転した。

こうした動きはLG化学に限ったことではない。主要部品であるガラス基板の国産生産を手掛ける米コーニング社や日本のAGCも下流企業のサムスンやLGディスプレイの生産縮小の影響を受け、生産転換を進めている。

      調査会社DSCCのデータによると、ディスプレイ生産能力(面積ベース)では中国が2017年に韓国を上回り、2023年までに韓国の8倍の規模に急速に拡大すると予想されている。

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