旭化成が2003年に開発を始めた樹脂フィルム製偏光板「WGF」。液晶パネル向けの需要を狙うも、市場の変調などで挫折。20年の曲折を経て、ようやく活路を見いだしつつある。旭化成が狙いを定めているのは、世界各地の製造業の生産現場だ。

反射した光を一定の方向に振動させるようにするのが偏光板だ。例えば、屋外に止めてある車のフロントガラスを偏光板を通して見ると、車の周囲の木々が映り込むのを抑える一方、車の中の運転席や助手席がくっきりと見えるようになる。





旭化成が手掛ける樹脂フィルム製の偏光板「WGF」は、アルミニウム製のワイヤグリッド(格子)で偏光分離する。簡単に言えば、フィルム表面に平行に並ぶようにアルミの超極細ワイヤを形成することで、特定の波長の光の進路をコントロールする、というものだ。

WGFでは100ナノメートル(ナノは10億分の1)ごとに細さ数十ナノメートルのワイヤを並べて光の透過や反射を制御している。これにより、可視光や赤外光、もっと波長が長い光の透過・反射も制御できる。フィルムには耐熱性や耐湿性があるほか、曲面成形や複雑な形状への切断もしやすいといった性質も併せ持つ。

WGFを使う最大のメリット、それは見えづらかったものがくっきりと見えるようになることだ。

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