中国のディスプレーパネル最大手の京東方科技集団(BOE)は11月28日、四川省成都市に第8.6世代の有機EL(OLED)パネルの生産ラインを新設すると発表した。総投資額は630億元(約1兆3107億円)、生産能力は月間3万2000枚を予定している。
このプロジェクトにはBOEとともに、成都市政府系のハイテク投資ファンドなどが参画する。事業主体の新会社への出資比率はBOEが52.63%、成都市重大産業化項目第1期股権投資基金が23.685%、成都高新区電子情報産業発展が同じく23.685%となっている。
このプロジェクトにはBOEとともに、成都市政府系のハイテク投資ファンドなどが参画する。事業主体の新会社への出資比率はBOEが52.63%、成都市重大産業化項目第1期股権投資基金が23.685%、成都高新区電子情報産業発展が同じく23.685%となっている。
■パネルの世界シェアで第2位
市場調査会社の群智諮詢(シグマインテル)のデータによれば、BOEはディスプレーパネルの売上高ベースのランキングで、世界首位の韓国のサムスンディスプレイに次ぐ第2位につける。2022年のグローバル市場で21%のシェアを獲得し、サムスンとの差はわずか2ポイントだ。
BOEの主力製品は液晶パネルだが、近年はスマートフォン向けの小型OLEDパネルの売り上げを急速に伸ばしている。今回発表した成都市の生産ラインでは、主にノートパソコンやタブレット向けの中型パネルを生産し、OLED分野でさらなる勢力拡大をもくろむ。
中型サイズのOLEDパネルは、ディスプレーパネル市場全体のなかでも今後の急成長が期待されているセグメントだ。市場調査会社のオムディアのデータを引用したBOEの開示資料によれば、ノートパソコン向け中型OLEDパネルの2022年の出荷量は約600万枚と、前年比19%増加した。
中国メーカーのOLEDパネルの生産能力は過去数年で急拡大したが、先行する韓国メーカーには依然追いついていない。市場調査会社の集邦諮詢(トレンドフォース)が2023年7月に発表したデータによれば、アジア地域のOLEDパネルの総生産能力に占める比率は韓国が54.9%、中国が43.7%だった。
■世界のスマホメーカーが採用
スマートフォン向けの小型OLEDパネルに関しては、BOEはすでに世界的な大手サプライヤーになっている。その製品は中国のスマホメーカーはもちろん、(アメリカのアップルを含む)海外の主要スマホメーカーに広く採用されている。
前出の群智諮詢のデータによれば、BOEは2023年7~9月期の小型OLEDパネルの世界市場で16.6%のシェアを獲得。首位のサムスンディスプレイとの落差は前年同期の50.2ポイントから35.3ポイントに縮まった。
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