積水化学工業は開発中の次世代太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」について、2025年までに20年相当の耐久性を実現する方針を固めた。
一般的に耐久性は5―10年程度とされ、長寿命化が実用化の障壁だった。20年の耐久性は一般的なシリコン系太陽電池にも匹敵し、社会実装に向けて大きく前進する。
東芝など電機各社や中国勢も商用化を急いでおり、積水化学は屋外設置の実証などを通じて耐久性を検証し、25年の事業化を目指す。

ペロブスカイト太陽電池は柔軟で軽く、既存の太陽電池が設置できない外壁や耐荷重の小さい屋根などに設置できる点が特徴だ。次世代の太陽電池として普及が期待され、政府は社会実装に向けて支援策を拡充している。





積水化学は液晶向け封止材やガラス用中間膜などで培った独自技術を応用し、フィルム型ペロブスカイト太陽電池を開発している。すでに幅30センチメートルのロール・ツー・ロール(R2R)方式の製造プロセスを構築。屋外耐久性10年相当で発電効率15・0%の電池製造に成功した。

今後は耐久性の向上に加え、量産化を見据えて幅1メートルの生産技術を確立する。また、発電効率20%の実現も目指し、技術的な優位性を確保して市場形成をリードする考えだ。開発状況は「順調に進捗(しんちょく)している」(加藤敬太社長)という。このほか研究員に事業企画担当者を加えた40―50人体制の新組織を発足。量産技術の確立や、他社との協業を含めた事業スキーム、投資計画などの検討を本格化する。

ビルの外壁などに設置できるペロブスカイト太陽電池は、既存の太陽電池に比べて設置場所が大きく広がり、導入実績も急速に増加する見通しだ。富士経済(東京都中央区)の調査によると35年に世界市場は1兆円規模に膨らむという。

国内外で開発競争が激化しており、海外では中国や韓国のメーカーが実用化を急ぐ。国内では東芝が25年度以降の市場投入を目指している。パナソニックホールディングスも5年内にガラス建材一体型ペロブスカイト太陽電池を量産化する目標を掲げており、参入が相次いでいる。

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