LGディスプレーの中国・広州工場。2021年にサムスンディスプレーが液晶パネル(LCD)事業から撤退し韓国のディスプレーメーカーで唯一のテレビ用LCD製造工場になったここの生産ラインに年初から活気があふれている。
昨年と比較し今年のLCD生産量が80%以上増えたためだ。広州工場で作られたLCDパネルは世界のテレビ市場でシェア1位と2位を守っているサムスンとLGの主力製品に使われる。

テレビ市場をめぐり何度も神経戦を行ってきた「永遠のライバル」であるサムスンとLGのディスプレー同盟が今年本格化する様相だ。継続するテレビ市場の沈滞と中国の激しい挑戦に対抗しサムスンのテレビにLGのパネルを搭載する形で共同戦線を展開する事例が増加している。





◇有機EL・LCDともに手を組む

ディスプレー業界によると、今年LGディスプレー広州工場で生産されるLCDパネルの相当数はサムスン電子に供給される。サムスン電子の主力テレビラインナップであるQLEDテレビは基本的にLCDに量子ドットフィルムを加えて画質を引き上げる方式で、そのLCDの供給元を今年からLGディスプレーに切り替えたのだ。これに先立ちサムスンは中国BOEとの技術特許侵害をめぐる攻防を契機に中国製パネルの供給網を切り始めた。

LGエレクトロニクスが有機EL製品とともにテレビ事業の両軸としたQNEDテレビ用LCDパネルもやはり広州工場で生産されている。両社の主力テレビ製品に同じ工場で作った同じパネルが使われるわけだ。

◇韓国ディスプレー同盟誕生

LCDの次世代技術に挙げられる有機ELでも両社の協力は拡大する傾向だ。サムスン電子は今年LGディスプレーから供給されるテレビ用有機ELパネルの規模を増やすことにした。昨年から系列会社であるサムスンディスプレーが生産した量子ドット有機ELでなくとも、LGディスプレーのW-OLEDまで調達してサムスンのテレビに搭載し始めたが、今年は購入量をさらに拡大する。有機ELテレビのラインナップを拡大しプレミアムテレビ市場でサムスンのシェアを守るという戦略だ。現在サムスンディスプレーはスマートフォンやタブレットなど中小型有機ELパネルでは世界1位だが、テレビ用大型有機EL市場ではLGディスプレーが世界1位だ。

◇「中国の追撃に手を組んだが…同床異夢も」

両社が敵と力を合わせることになった背景には切迫した市場の状況がある。景気低迷の余波で昨年世界のテレビ市場の出荷台数は13年ぶりに2億台を下回るほど最悪の不況を迎えた。ここに「ディスプレー崛起」を掲げる中国企業の挑戦も激しい。サムスンとLGを追撃する中国のTCLとハイセンスは中低価格製品であるLCDテレビを超えQLEDテレビとミニLEDテレビなど韓国企業が掌握する超大型・プレミアム製品のラインナップを相次いで出している。

ディスプレーで手は組んだが危機感は相変わらずだ。何より有機ELテレビ市場が依然として小さいというのが問題。市場調査会社オムディアによると有機ELテレビ出荷台数の割合は世界のテレビ市場で5%未満だ。3年にわたり魔の700万台を超えられずにいる。

すでにスマートフォンなどに使われる中小型有機ELパネル市場を掌握したサムスンとしては市場成長が遅い有機ELテレビへの転換は急がない。パネル供給元であるLGディスプレーとの価格交渉でも有利だ。LGエレクトロニクスは今年高価な有機ELテレビのほかLCD基盤のQNEDテレビを前面に出して収益性を確保するものとみられる。ディスプレー業界関係者は「長期的に中国の挑戦を圧倒的な品質・物量で押さなければならない。当分両社は互いの手を握らなければならないだろう」と話した。

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