7019012024000000-1テレビ用有機ELパネルの市況が停滞している。指標品の大口取引価格は2023年10〜12月期まで3四半期連続で横ばいとなった。高額商品である有機ELテレビは世界的な物価高の影響で販売が鈍い。大手パネルメーカーは生産を絞り、値下がりを食い止めている。
テレビ販売の速やかな回復は見込めず、市況の低迷が続きそうだ。

有機ELテレビは液晶テレビよりも値段が高く、先進国が集まる欧米が2大需要地とされる。主要部品である有機ELパネルの大口取引価格は、売り手となるアジアの大手パネルメーカーと、買い手となる国内外のテレビメーカーが四半期ごとに決める。
23年10〜12月期は、流通量が多い55型品が1枚412ドル前後。3四半期連続で横ばいとなった。前年同期比では1%安い。





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大型の65型品は1枚635ドル前後。前四半期に比べ1%下落し、前年同期比では5%安となった。10四半期連続で値下がりしたものの、下落幅は段階的に縮小している。

大口取引価格は21年後半から下落基調に入った。新型コロナウイルス禍で盛り上がったテレビの巣ごもり需要が一段落したほか、世界的な物価高で有機ELテレビの販売が縮小し、テレビメーカーによるパネルの調達意欲が鈍ったためだ。

有機ELパネル大手の韓国LGディスプレーなどは、市況の悪化と価格の下落で採算が大きく悪化した。パネルメーカーは一層の値下がりを回避するために生産量を抑え、需給バランスのコントロールを図っている。

米調査会社DSCCによると、テレビ用有機ELパネルの生産ラインの稼働率は23年の全体平均が49%だった。22年の61%と比べて12ポイント低く、21年の89%からは40ポイント低下した。世界出荷枚数は23年が前年比29%減の540万枚だった。パネルメーカーの減産の効果で、大口取引価格は横ばい圏での推移が続いている。

液晶パネルは値下がりした。23年12月の大口取引価格は大型品の指標となるTFT55型オープンセル(バックライトがついていない半製品)が1枚122ドル前後。前月比3ドル(2%)安い。小型品で指標となるTFT32型オープンセルは2ドル(6%)安の1枚33ドル前後だった。

液晶パネルは有機ELパネルに比べてメーカー数が多い。需要の減少で中国の液晶パネルメーカーは生産ラインの稼働率を落としているが、全体の生産量を抑えきれてはいない。

DSCCは有機ELと液晶を含む薄型テレビの世界出荷台数が24年に前年比3%増の2億3000万台になると予測する。22年並みに戻るが、21年の2億4500万台には届かない。同社の田村喜男アジア代表は「市況の回復には時間がかかる。有機ELパネル価格はしばらく低位で推移するだろう」とみる。

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