液晶調光フィルムの開発・製造・販売を手がける中国企業「隆昇光電(ChiefWay)」(全称、上海隆昇光電新材料)がこのほど、シリーズB+で毅達資本と安誠資本から1億元(約20億円)近くを調達した。資金は、生産ライン建設、設備調達、人材獲得および研究開発に充てられる。
社長の潘烜氏によると、隆昇光電の中心メンバーは2005年から調光フィルムの開発に携わるベテランで、調光フィルム・ガラスの国家基準の策定にも参画している。また、同社は蓄積してきた技術力や大量の実施例はもとより、サプライチェーンの上流から下流までを網羅するリソースを保有しているという。
調光フィルムは、自動車のサンルーフガラスやリアガラスなどに活用される。大開口のサンルーフと調光フィルムを組み合わせれば、断熱・保温効果と開放的な車内空間を両立でき、省エネと温室効果ガスの排出削減にもつながる。
社長の潘烜氏によると、隆昇光電の中心メンバーは2005年から調光フィルムの開発に携わるベテランで、調光フィルム・ガラスの国家基準の策定にも参画している。また、同社は蓄積してきた技術力や大量の実施例はもとより、サプライチェーンの上流から下流までを網羅するリソースを保有しているという。
調光フィルムは、自動車のサンルーフガラスやリアガラスなどに活用される。大開口のサンルーフと調光フィルムを組み合わせれば、断熱・保温効果と開放的な車内空間を両立でき、省エネと温室効果ガスの排出削減にもつながる。
調光フィルムには、PDLC(高分子分散型液晶)、EC(エレクトロクロミック)、SPD(懸濁粒子デバイス)など、さまざまな技術が活用される。このうち、PDLCは軟質材料で、液晶フィルム中の高分子が通電すると整列する原理を利用し、通電すればガラス面が透明になり、通電しなければ光は通すが不透明になる仕組みとなっている。
現在のところ、PDLCを利用した調光フィルムは最も技術が成熟しているうえ、価格はSPDの15〜20%、ECの40〜50%とコストパフォーマンスが極めて高いため、調光ガラスメーカーが採用する主要なソリューションとなっている。潘社長によると、隆昇光電はPDLCを20年余りにわたって手がけており、独自開発した液晶の配合、広温度範囲に対応するPDLC技術、先進的な塗布設備に加え、その後の工程の自動生産ラインを備えている。同社のPDLCフィルムは、さまざまな指標で世界トップクラスの水準を誇るという。
大きな強みは、性能の高さから車載グレードの認定を受けていることだ。車載グレードとして認定されるには、調光フィルムの液晶材料が折り曲げや圧力を加えられた際に変色しないことが必要だという。この条件をクリアした後も、隆昇光電は長い時間をかけて技術的課題に取り組んだ。同社の製品は、95度の高温でも白濁度を95%以上維持する。また、105度の熱劣化試験に1000時間以上耐え、中国で3000時間、欧州で5000時間の光劣化試験に合格した。さらに、数万時間にわたり高温高圧下で通断電を繰り返す性能安定性試験も通過している。
自動車向けには、広温度範囲対応の液晶調光フィルムを手がけており、白色と黒色のほか、ガラスに直接貼れる調光フィルムの3種類を主力としている。いずれも日よけや視線よけ、断熱などさまざまな機能を兼ね備える。
隆昇光電の量産能力は、前段階の工程で用いる独自開発の中核設備と、後段階の工程で用いる自動生産ラインに支えられている。
前段階の工程では、極めて敏感かつ非常に薄い液晶調光フィルムの安定性を確保する必要がある。潘社長は「業界では液晶調光フィルムを塗布する際、微粒子のスペーサーを配置することが多い。しかし、この方法は生産効率を下げるうえ、外観に凹凸が残ったり側面が白っぽく曇ったりする場合があり、製品の性能が低下するなどの問題もある。顧客が求める段階的な色変化や平滑な外観を実現するのは難しい」と指摘した。
隆昇光電が独自開発した専用の塗布設備は、微粒子を使用する必要がなく、PDLCフィルムの発火点や曇り具合を示すヘーズ(曇価)、劣化などをより低く抑えられる。そのうえ、塗布速度は同業他社の5倍以上速い。現在は、全自動塗布設備2台を備えており、年産能力は180万平方メートル以上に達している。
後段階の工程については、他社に先駆けて全自動生産を実現し、全てのプロセスを手作業で処理する業界の慣行を打破した。独自開発したPDLCフィルムの電極側の生産設備は、電極側の安定性を高めるだけでなく、製品の大規模量産を実現するのに大きな役割を果たす。同社の工場では現在、自動生産ライン5〜6本の建設を計画しており、年産能力100万〜200万枚を目指すという。
隆昇光電はすでに、複数の一次部品サプライヤーや有名自動車メーカーと提携を結び、国内外に製品を提供している。主な取引先は、自動車用ガラス大手やサンルーフ大手のほか、自動車世界大手のBMWやアウディ、フォルクスワーゲン、ロータスなど。
同社は顧客のニーズに応えるため、「透明と不透明の切り替え」と「透明な状態での明暗切り替え」の2種類の調光方式を用意する。2023年に発表した広視野角調光フィルムは、自動車の正面と側面のウインドウの透明度を均一にすると同時に、曇り具合を最低限に保つ。24年には、明暗の切り替えができる調光フィルムを打ち出し、大規模量産を実現する計画だという。
潘社長は、25年には塗布設備のラインを1本新設して量産能力の向上を図るとしたうえで、将来的にはPDLCフィルムの活用シーンを拡大し、建築業界のカーテンウォール市場にも参入する方針を明らかにした。
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