サムスン電子の元社員の男が上司に無断で日本に特許コンサルティング会社を立ち上げ、日本企業を相手に特許関連のブローカーとして活動していたことが分かった。この社員はすでに身柄を拘束され裁判を受けることになっている。男は自らが経営する日本の会社にサムスン電子の機密資料を少なくとも91回流出させたとみられる。

 26日までのチョソン・ビズの取材を総合すると、ソウル中央地検情報技術犯罪捜査部(部長検事、イ・チュン)は先月25日、不当競争防止および営業秘密保護に関する法律に違反した容疑でサムスン電子元社員の男Aを身柄を拘束した状態で起訴し、別の元社員Bを在宅で起訴した。Aはこの事件が表面化した際に退職処理されたという。





 サムスン電子に20年以上勤務したAは2011年に日本人の同業者と共に現地に特許コンサル会社を設立。その後この会社を通じてサムスン電子の内部資料を流出させた。検察によると、Aはサムスン電子のIP(知的財産)センターに所属していた当時、外部への持ち出しが禁じられた役員会議資料を使い日本の会社で特許仲介の営業を行ってきたという。

 この役員会議資料は同社で専門の知識を持つ社員が作成する特許関連の情報を分析した資料で、毎週作成されている。サムスン電子はこの資料の内容を社外秘に指定し、規則で閲覧や配布を制限するなど厳しく管理している。この資料にはサムスン電子が購入あるいはライセンス契約締結予定の特許に関する情報、また特許関連の法廷闘争への対応策なども記載されている。外部に流出すると会社全体に悪影響を及ぼす機密情報だという。

 AはIPセンター所属の別の社員からも内部情報の提供を受けていたとみられる。Aは2019年ごろに別の部署に異動となり、ブローカー活動に必要な特許関連の情報が得られなくなったため、当時IPセンター所属だったBに話をもちかけたと検察はにらんでいる。検察はAがBに依頼して内部資料を持ち出したケースを含め合計91回にわたり情報を流出させたとしてAとBを同時に起訴した。

 検察は先月初めにAの拘束令状の交付を受け捜査を進めてきたが、その後Aには別の容疑も見つかり今も捜査は続いているという。二人の裁判はソウル中央地裁で3月7日午前中に行われる予定だ。

※記事の出典元はツイッターで確認できます⇒コチラ