Screenshot 2024-03-15 08.46.15日本ゼオンは3月14日、光学フィルム事業などで培った独自技術によって革新的な視覚効果を持つ新素材を開発したと発表した。
新素材は、光の反射を利用したさまざまな視覚効果を実現できる広帯域化コレステリック液晶で、同社独自設計の液晶材料および特殊な塗工プロセスにより、コレステリック構造のらせんピッチをナノオーダーレベルで制御し、フィルムに成形した。

 同社は超精密に構造を制御したフィルムや、これを粉砕しフレーク化して印刷したものに、革新的な視覚効果を持たせることに成功した。新素材は、これまでにない新しいデザイン素材としての利用や、独自製造技術により偽造防止目的での活用が期待される。また、機能的でありながら人々に楽しさも提供できる可能性を秘めている。






 この新素材は現時点では研究開発品であり、今後の市場開拓に向け、開発を進めている。特長的な3つの視覚効果は、表裏反転タイプ(透明なシートでありながら、表と裏で別の図柄が見える。)、潜像タイプ(スマートフォン画面の光を当てたり、偏光機能を持つビューワーで見たりすることで、図柄が浮かび上がる。)、消像タイプ(肉眼で見える図柄や色が、偏光機能を持つビューワーを通すと見えなくなる。)となる。
 材料の特長は、高い汎用性とデザイン性、豊富なカラーバリエーション、金属を不使用、高い模倣難度である。高い汎用性とデザイン性では、フレークの印刷はスクリーン印刷等の印刷技術を用いることができ、曲面にも使用可能。また、デザインに制限はなく、さまざまな表現が可能となる。
 豊富なカラーバリエーションでは、幅広い色を表現することが可能。コレステリック構造のらせんピッチをナノオーダーレベルで制御することで、光の反射を利用して長波長の赤から短波長の青紫まで、さらに同色でも淡色から濃色に至る色を表現できるほか、すべての可視光を同時に反射させて銀色(無着色の金属光沢)を表現することも可能となる。
 金属を不使用では、金属光沢を持つ外観を表現するのに金属を一切使用しないため、金属アレルギーのある方が身に着けるものにも使用できる。
 高い模倣難度では、同社独自の素材と特殊製法で作られているため、模倣が極めて困難だ。用途は、美術作品、服飾品、エンターテインメント用途が想定されている。
 なお、同技術は、プラチナコガネの生体模倣から着想を得ている。中南米に生息しているプラチナコガネは、金属成分なしで金や白金の色を再現している。この特徴的な色の秘密は、表面構造が特異的な光学特性構造になっているためとなる。特殊な構造により、広い波長の光、可視領域ほぼすべての光を反射させることができるため、あたかも金属光沢のような金色や銀色、白金のような鮮やかな色を再現している。

※記事の出典元はツイッターで確認できます⇒コチラ