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総額1000億円を超す前受金の返済負担は、JDIがシャープに工場と土地を約400億円で売却するまで続いた。
JDIはリストラなど構造改革に乗り出したものの液晶離れに歯止めがかからず、19年9月末には1000億円超の債務超過に陥った。 20年には独立系運用会社、いちごアセットマネジメントが計1100億円を支援し債務超過は解消されたものの、業績が厳しいのは変わらない。
22年の液晶パネル市場は16年比9%縮小し869億ドル(約13兆円)となった一方、有機EL市場は3倍の414億ドルまで拡大した。JDIも有機EL事業は営業黒字だが、市場シェアはわずか0.6%だ。
いちご社長でJDI会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるスコット・キャロン氏は「重厚長大型の投資はせず、アセットライト(資産圧縮)を目指す」と話し、26年3月期の最終黒字化を掲げる。
総額1000億円を超す前受金の返済負担は、JDIがシャープに工場と土地を約400億円で売却するまで続いた。
JDIはリストラなど構造改革に乗り出したものの液晶離れに歯止めがかからず、19年9月末には1000億円超の債務超過に陥った。 20年には独立系運用会社、いちごアセットマネジメントが計1100億円を支援し債務超過は解消されたものの、業績が厳しいのは変わらない。
22年の液晶パネル市場は16年比9%縮小し869億ドル(約13兆円)となった一方、有機EL市場は3倍の414億ドルまで拡大した。JDIも有機EL事業は営業黒字だが、市場シェアはわずか0.6%だ。
いちご社長でJDI会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるスコット・キャロン氏は「重厚長大型の投資はせず、アセットライト(資産圧縮)を目指す」と話し、26年3月期の最終黒字化を掲げる。
具体的には中国の安徽省で自治体や現地企業から資金を調達し、中国側の資金で工場を建設。26年以降にJDIが運営を担い、新技術のeLEAPを増産する計画だ。 加えて24年3月期は採算の悪いスマホ向け液晶事業からの撤退も進めた。
ゴールドマン・サックス証券の高山大樹投資調査部長は「固定費の削減余力が限られる中、収益性の高いスマートウオッチなどの売り上げ拡大が欠かせない」と指摘する。
東証の上場ルールでは、複数年度にわたって最終赤字を計上しても上場廃止にはならない。ただプライム市場では流通株式比率を35%以上にする必要があり、JDIは23年3月時点で14.6%にとどまっている。
対応期限となる28年3月までに、78%の株式を保有するいちごのイグジットが欠かせない。
JDIの不振をめぐっては、経産省の支援も続かなかった。INCJはJDI発足時から19年までに累計で4628億円を投融資した。ただINCJがJDIから回収できたのは23年2月時点で約2900億円にとどまっており、差し引きで1700億円分のマイナスだ。
INCJは25年3月までに解散することがあらかじめ決まっていた。「19年ごろには事業パートナーの選定を諦め、後任のスポンサー探しに本腰を入れていた」(JDI元幹部)。INCJは23年12月に株式を一部売却し、保有比率が5%未満となった。
国内のディスプレー産業は風前のともしびだ。シャープは23年3月期にパネル工場の減損で2600億円の最終赤字となり、24年3月期も液晶が苦戦し赤字継続を見込む。ソニーGとパナソニックホールディングスの有機EL事業を統合し15年に発足したJOLED(ジェイオーレッド)も23年3月末に経営破綻した。
JDIの歴代の経営トップは異口同音に黒字転換計画を発表してきた。ただJDIは24年3月期まで10期連続の最終赤字を予想し、約束は一度も守られたことはない。INCJも激烈な国際競争を勝ち抜けるだけの経営陣を用意できなかった。歴代トップは外部環境の変化を理由に挙げ、計画不履行の原因追究を徹底してこなかった。
この先10年、国内パネル産業の将来像をどう描くか。パネル市場はぶれが大きく、勝ち残りには大型投資を継続する必要がある。国も国内パネル産業の衰退を放置するのか、改めて議論が必要だ。
JDI単独での生き残りが現実的ではない中で、早期に中国などの事業パートナーを確保しeLEAPの増産にめどをつける。eLEAPの製造時の良品率を高め、顧客も開拓する。液晶で培った高い技術を応用し製品の幅を広げる。やるべきことを一つずつクリアしてJDIはようやくひとり立ちの道が開く。
外部環境の変化、などの言い訳はもう許されない。
※記事の出典元はツイッターで確認できます⇒コチラ
ゴールドマン・サックス証券の高山大樹投資調査部長は「固定費の削減余力が限られる中、収益性の高いスマートウオッチなどの売り上げ拡大が欠かせない」と指摘する。
東証の上場ルールでは、複数年度にわたって最終赤字を計上しても上場廃止にはならない。ただプライム市場では流通株式比率を35%以上にする必要があり、JDIは23年3月時点で14.6%にとどまっている。
対応期限となる28年3月までに、78%の株式を保有するいちごのイグジットが欠かせない。
JDIの不振をめぐっては、経産省の支援も続かなかった。INCJはJDI発足時から19年までに累計で4628億円を投融資した。ただINCJがJDIから回収できたのは23年2月時点で約2900億円にとどまっており、差し引きで1700億円分のマイナスだ。
INCJは25年3月までに解散することがあらかじめ決まっていた。「19年ごろには事業パートナーの選定を諦め、後任のスポンサー探しに本腰を入れていた」(JDI元幹部)。INCJは23年12月に株式を一部売却し、保有比率が5%未満となった。
国内のディスプレー産業は風前のともしびだ。シャープは23年3月期にパネル工場の減損で2600億円の最終赤字となり、24年3月期も液晶が苦戦し赤字継続を見込む。ソニーGとパナソニックホールディングスの有機EL事業を統合し15年に発足したJOLED(ジェイオーレッド)も23年3月末に経営破綻した。
JDIの歴代の経営トップは異口同音に黒字転換計画を発表してきた。ただJDIは24年3月期まで10期連続の最終赤字を予想し、約束は一度も守られたことはない。INCJも激烈な国際競争を勝ち抜けるだけの経営陣を用意できなかった。歴代トップは外部環境の変化を理由に挙げ、計画不履行の原因追究を徹底してこなかった。
この先10年、国内パネル産業の将来像をどう描くか。パネル市場はぶれが大きく、勝ち残りには大型投資を継続する必要がある。国も国内パネル産業の衰退を放置するのか、改めて議論が必要だ。
JDI単独での生き残りが現実的ではない中で、早期に中国などの事業パートナーを確保しeLEAPの増産にめどをつける。eLEAPの製造時の良品率を高め、顧客も開拓する。液晶で培った高い技術を応用し製品の幅を広げる。やるべきことを一つずつクリアしてJDIはようやくひとり立ちの道が開く。
外部環境の変化、などの言い訳はもう許されない。
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