半導体分野の取材で「パネル」や「パネル基板」という言葉を耳にすることが増えた。後工程(パッケージング工程)領域で話題に上ることが多い。角型をしたガラス製や樹脂製の基板(パネル)を、チップレット集積でチップ間をつなぐための基板である「インターポーザー」の形成などの後工程に活用するという文脈の中でだ。パネルはこれまで主に、液晶業界の言葉だった。

半導体後工程におけるパネルは500mm角といった寸法のものを指す。半導体パッケージと同じ四角形であることも加わって、円盤状のシリコンウエハーを使う手法と比べてインターポーザーなどの取れ数が増えコストを下げやすい。





最先端半導体の受託生産を目指すRapidus(ラピダス)は2024年4月2日、経済産業省から財政支援を受ける研究開発のテーマにチップレット集積などの先端パッケージングを加えたことを発表した(図1)。目玉となるのが、600mm角という大型パネルで製造するガラス製インターポーザーの開発である。300mm径のシリコンウエハーを使う手法と比べ、「コストを大幅に低減できる」(ラピダス社長の小池淳義氏)と見込む。

 その開発に活用するのが、建設中の同社千歳工場(北海道千歳市)に隣接するセイコーエプソンの千歳事業所だ。建屋内に後工程用のクリーンルームを構築し、露光装置などの製造装置を搬入してパッケージングの試作や評価を行えるようにする。同事業所はプロジェクター向けの高温ポリシリコンTFT液晶(HTPS)の生産拠点。液晶パネル生産には石英ガラス基板を使っている。

 ラピダスはセイコーエプソンの千歳事業所に間借りする形であり、同事業所の既存のクリーンルームや製造装置を転用するわけではない。それでも後工程用クリーンルームを設置する場所として、半導体工場と共通点の多い液晶工場を選んだのは自然な選択といえる。

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