Screenshot 2024-05-15 08.26.08シャープは14日、主力の液晶パネルの生産から撤退し、事業の売却を検討する方針を明らかにした。テレビ向け大型パネルを手がける「堺ディスプレイプロダクト」(大阪府堺市)の生産を9月末までに停止し、パソコンやスマートフォン向けの中小型パネルは段階的に事業を縮小する。
一部の工場はデータセンターへの転換も検討する。

オンラインで記者会見した 呉柏勲ごはくくん 社長兼最高経営責任者(CEO)は、「市場の変化により、当初の再生計画の遂行が厳しくなった」と述べた。今後は、白物家電や通信機器などの事業に経営資源を集中する。




シャープ再建   鴻海流スピード経営と 日本型リーダーシップ【電子書籍】[ 中田行彦 ]
シャープ再建   鴻海流スピード経営と 日本型リーダーシップ【電子書籍】[ 中田行彦 ]





Screenshot 2024-05-15 08.27.11
 液晶パネルは、シャープを世界的企業に押し上げる原動力だった。1990年代後半、当時の町田勝彦社長が「国内のテレビをすべて液晶に置き換える」と宣言し、ブラウン管からの置き換え需要を取り込んだ。

 三重県亀山市に建設した亀山工場で生産したテレビは「亀山モデル」のブランドで世界市場を席巻した。2009年には約4300億円を投じ、堺市に当時としては世界最大で最先端の液晶パネル工場を稼働させた。

 しかし、韓国勢などとの競争が激化し、巨額投資が裏目に出て、16年、台湾の 鴻海ホンハイ 精密工業の買収を受け入れ、再建を図っていた。

シャープが14日に発表した24年3月期連結決算の最終利益は液晶事業の不振で、1499億円の赤字(前期は2608億円の赤字)と2年連続の赤字に陥り、立て直しが急務となっている。

 液晶事業は、インドなど海外企業を中心に売却先を検討していく。従業員の早期退職の募集や配置転換も実施し、工場の跡地はデータセンターへの転換などを模索する。採算が悪く、将来性も見込めない液晶パネルに加え、半導体関連の電子部品の生産からも将来的に撤退することを決めた。

 液晶の生産を巡っては、ジャパンディスプレイも苦境に陥っている。13日に発表した24年3月期の連結決算は、最終利益が443億円の赤字となった。25年3月期も赤字を見込んでおり、11年連続の最終赤字となる見通しだ。

シャープの経営を支えているのは、パソコンや複合機などの「スマートオフィス」や、白物家電、太陽光パネルといった「スマートライフ&エナジー」部門となっている。安定した黒字を稼いでおり、2024年3月期連結決算でも、2部門だけで、本業のもうけを示す営業利益の約7割を占めた。

 一方、液晶テレビ「アクオス」で躍進し、「液晶のシャープ」を支えた液晶パネルを含む「ディスプレイデバイス」事業は最大の懸案となっている。五つに分かれる事業部門の中で唯一の赤字に陥っており、他の事業で生み出した利益を打ち消している。

 売上高では各部門で最大の6149億円だが、営業利益では832億円の赤字だった。呉柏勲社長は14日の記者会見で「手元のリソースをいかにトランスフォーメーション(変化)していくかだ」と述べた。

※記事の出典元はツイッターで確認できます⇒コチラ

【中古】 シャープ「液晶敗戦」の教訓 日本のものづくりはなぜ世界で勝てなくなったのか/中田行彦(著者)

【中古】 シャープ「液晶敗戦」の教訓 日本のものづくりはなぜ世界で勝てなくなったのか/中田行彦(著者)