00huangアジア最大級の情報技術(IT)見本市、台北国際電脳展(コンピューテックス台北)のあす4日開幕を前に、米エヌビディアのジェンスン・フアン(黄仁勲)CEO(最高経営責任者)が2日に事前講演を行い、台湾テック業界のトップを含む4000人が会場に詰めかけ、オンラインで数万人が視聴した。
「将来、全てのパソコンが人工知能(AI)化する」、「AIが産業革命を起こし、IT(情報技術)産業の世界の生産額は3兆米ドルから100兆米ドルまで拡大する」などと語った。ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)をはじめ、台湾の協力企業40社余りに感謝を示した。3日付経済日報などが報じた。

 フアンCEOは2日夜、国立台湾大学の体育館(台北市大安区)で、「AI時代の世界の産業革命」をテーマに講演した。

 フアンCEOは、エヌビディアのGPU「GeForce RTX」を搭載したAIパソコンを華碩電脳(ASUS)などが手掛けており、200機種以上発売されると明かした。将来は全てのPCがAIに対応し、画像編集や文書作成などのAI機能が強化され、デジタルヒューマン(AIアバター)も内蔵すると語った。





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 デジタルヒューマンは、大規模言語モデル(LLM)を元に、多言語に対応し、会話ができる。見た目も本物の人間そっくりだ。エヌビディアは、PC上で運用できるデジタルヒューマン生成機能「NVIDIA ACE(エヌビディアエース、アバタークラウドエンジン)」を提供している。

 フアンCEOは、デジタルヒューマンは例えば、デザイナーとしてデザインを提案したり、医療アシスタントとして個人に合わせた助言を行うなど、カスタマーサービスやプロモーション、ゲームなどの幅広い業界に変革をもたらすと説明した。

 フアンCEOは、次世代AI向けGPUアーキテクチャ「Rubin(ルービン)」を2025年第4四半期(10~12月)から量産を開始し、2026年にリリースすると発表した。市場では、ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の3ナノメートル製造プロセスを採用すると予想されている。

 会場では、エヌビディアのGPU「GB200 NVL72」搭載のAIサーバー完成品を展示した。世界最速のAIサーバーとうたい、電子機器受託製造サービス(EMS)最大手、鴻海精密工業(ホンハイ・プレシジョン・インダストリー)が製造するとみられている。

無名のヒーローに感謝

 フアンCEOは、AI工場とAI製造で、鴻海や和碩聯合科技(ペガトロン)、緯創資通(ウィストロン)、台達電子工業(デルタ・エレクトロニクス)などがエヌビディアのAIビジュアルの「メトロポリス」技術や3次元(3D)グラフィックスの「オムニバース」技術などを使用すると語った。うちAI工場は、鴻海がインテグレーターとしてハードとソフト、ロボティクスを統合する役割で、所羅門(ソロモン・テクノロジー)や自動化システムの広運機械工程(ケンメック・メカニカル・エンジニアリング)なども加わると語った。

 フアンCEOは、講演の動画のエンドロールで、TSMCをはじめ、40社余りの社名を連ね、台湾のサプライチェーン(供給網)は無名のヒーローで、世界を支えていると指摘した。「謝謝你、台湾(ありがとう、台湾)」の文字が現れると、会場に拍手が起こった。

 会場には、郭智輝・経済部長や黄彦男・数位発展部(デジタル発展部)長が招待されたほか、▽鴻海の劉揚偉・董事長、▽ASUSの施崇棠(ジョニー・シー)董事長、▽広達電脳(クアンタ・コンピューター)の林百里(バリー・ラム)董事長、▽ウィストロンの林憲銘・董事長、▽PC・マザーボード大手、技嘉科技(ギガバイト・テクノロジー)の葉培城・董事長、▽米スーパーマイクロのチャールズ・リアング(梁見後)CEO、▽宏達国際電子(HTC)の王雪紅・董事長、▽デルタの鄭平・董事長、▽通信最大手、中華電信の林昭陽・総経理、▽台湾大哥大(台湾モバイル)の蔡明忠・董事長、▽台湾塑膠工業(フォルモサ・プラスチックス)の林健男・董事長──ら各界の大物が多数出席した。

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