Apple HATG3BUアップルのスマートフォン「iPhone」の中国における販売が回復してきた。高価格帯の端末に関心を示すユーザーが増えている。この分野では中国・華為技術(ファーウェイ)が強みを見せ、iPhoneは1~2月に不振が続いていたが、ここに来て回復の勢いが増している。英ロイター通信や米ブルームバーグ通信などが報じた。

 中国政府系シンクタンク「中国情報通信研究院(CAICT)」によると、2024年4月における同国のスマートフォン出荷台数は前年同月比25.5%増の2270万台だった。このデータを基にしたブルームバーグ通信の試算によると、このうち約350万台が外資系ブランドだった。

 ロイター通信によると、外資系ブランドの4月の出荷台数は、前年同月比で52%増加した。データはアップルについて言及していないものの、同社は中国のスマホ市場で圧倒的なシェアを持つ海外メーカーであり、この増加率は同社の実績と同義であると考えられる。





 CAICTのデータに基づくロイター通信の試算によると、iPhoneの24年3月の中国出荷台数は前年同月比12%増加した。約50%という4月の増加率は大きな躍進であり、それまでの販売減退から著しい改善を示している。

一方、iPhoneの中国出荷台数は24年1~2月、前年同期比37%減と大きく落ち込んでいた。アップルは中国市場で激しい競争に直面し苦戦を強いられた。高価格帯端末市場でファーウェイなどの中国メーカーが台頭したからだ。

シンガポールに本部を置く調査会社カナリスによると、24年1~3月期の中国市場におけるiPhoneの出荷台数は約1000万台だった。アップルは、ファーウェイのほか、OPPO(オッポ)、HONOR(オナー)、vivo(ビボ)といった中国勢にシェアを奪われた。

 また、24年1~3月期におけるアップルの中国事業売上高は、163億7200万ドル(約2兆5700億円)で前年同期から8%減少。3四半期連続の減収だった。

こうしたなか、iPhoneの著しい回復は、中国の消費者の好みの変化も影響していると、ブルームバーグ通信は報じている。4月は通常アップルにとって販売が低調になる月であるが、24年は同国でiPhoneが再び最も人気のあるスマホとなり、買い替えへの関心が高まった。その背景にはプレミアム化のトレンドがあるという。

 ブルームバーグ通信が行った最新の調査によると、対象者の半数以上が、次のスマホに4000元(約8万7000円)以上を費やす用意があると答えた。一方で、現在この価格帯の端末を利用している人は33%にとどまる。アナリストのスティーブン・ツェン氏とショーン・チェン氏は「中国市場で縮小していたiPhoneのシェアは回復・安定していくだろう」との見方を示した。

アップルが中国で展開している販売戦略も功を奏しているようだ。同社は中国最大級のネット通販セール「6.18セール」に合わせて、iPhoneの大幅値引きを行っている。24年2月にも値下げを実施したが、今回の下げ幅はそれよりも大きい。

 カナリスのアナリストであるレウ・チウ氏は、「(iPhone販売は)2月の値下げで勢いがついた。今回も中国メーカーへの効果的な対抗策になる」とみている。


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