中国に関する政策を担当する台湾の大陸委員会(陸委会)は27日、中国・香港・マカオへの渡航危険情報を4段階のうち、危険度が上から2番目の「橙色(オレンジ、不要な渡航を避ける。日本の渡航中止勧告に相当)」に引き上げた。
大陸委員会は、中国は近年、国家安全に関する法改正が相次ぎ、訪中した複数の台湾人が身柄が拘束されているほか、6月21日には反分裂国家法など現行法に基づき、死刑を含む「頑迷な台湾独立(台独)分子」の処罰に関する指針を発表しており、台湾人の身の安全性を脅かされているためと説明した。28日付自由時報などが報じた。





渡航危険情報に強制力はない。陸委会の梁文傑・報道官は、渡航危険情報を引き上げたのは中国への対抗措置ではなく、台湾人の保護と注意喚起のためだと述べた。

 梁・報道官は、▽2023年3月に訪中後、国家の安全に危害を及ぼす活動に従事した疑いで、中国当局に拘束された台湾の出版社、八旗文化の編集長、富察(本名・李延賀)氏、▽中国で国家分裂罪に問われ逮捕された急進的な台湾独立派政党、台湾民族党の楊智淵・副主席──などの例を挙げ、中国での言動ではなく、中国以外での言動で、中国当局に身柄を拘束されたと指摘した。中国渡航のリスクを低減するため、梁・報道官は、中国で▽センシティブな話題に言及しない、▽空港や港湾、軍事演習施設を撮影しない、▽政治や歴史、宗教関連の書籍を持ち込まない──などを呼び掛けた。

 両岸(中台)の団体旅行は原則、認められていない。交通部は27日、陸委会の決定を尊重しつつ、両岸(中台)の観光交流の再開を求める立場に変更はないと説明した。ただし、訪中時は出発前に、陸委会のウェブサイトで個人情報や渡航先を登録するよう呼び掛けた。

 旅行業界は、両岸(中台)の観光交流にマイナスの影響があると批判した。

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