zu12022年8月にバイデン大統領によって導入された「インフレ抑制法(Inflation Reduction Act: IRA)」は、米国太陽光発電産業の国内生産拡大の引き金となり、国内生産の拡大が大きく期待されている。

 そんな中、すでに国内生産計画を取り下げるケースが起きてしまった。

 今年2月に、太陽光発電メーカーのキュービックPV(CubicPV)は、米国に10GWのシリコンウエハー(シリコン製基板)工場を建設する計画を撤回することを明らかにした。

同社の取締役会は、計画中止の理由として「ウエハー価格の劇的な暴落と建設費の高騰」を含む市場環境の変化を挙げた。






 バイデン政権のIRAには、太陽光設備の供給側に対し、その国内生産を促すインセンティブも含まれており、具体的には、米国内でのクリーンエネルギー関連設備の生産をサポートするため、製造事業者に対して連邦税額控除を導入した。この税額控除の対象には、ポリシリコン(結晶シリコン)、ウエハー、セル(発電素子)、モジュール(太陽光パネル)などが含まれている。

 今年5月16日に、バイデン政権は米国の太陽光発電設備に関連した製造業を強化し、メーカーとそこで働く従業員を中国の不公正な貿易慣行から守るための対抗措置を発表した。この発表では、これまでのIRAの成果が強調された。IRA成立前の米国内における太陽光パネル組み立て能力は、わずか年産7GWだったが、同法成立後、これまでに発表された生産設備への投資計画は合計で125GW以上に達しているという。

 米太陽エネルギー産業協会(SEIA)は、IRA成立後のメーカーの動きを「(米国)太陽光発電設備産業のルネサンス到来」と国内での生産復活を喜んだ。

 ちなみに、SEIAによると2023年の米国における太陽光発電設備の年間導入量はパネル出力で32.4GWだったので、これまでに発表された生産設備への投資規模は、2023年における米国太陽光発電市場の実に3.8倍に達する。

Read full article