BMWミニとして本邦初「カントリーマン」を名乗ることになったこのクルマは、以前はミニ・クロスオーバーと呼ばれていた。都合3世代目となる新型はBMWのX1とコンポーネンツの多くを共用しており、そのボディはコンパクトとは言い難い。
新型ミニ・カントリーマンはガソリンとディーゼルのFFモデル、そしてAWDのカントリーマンSオール4と、今回借り出したJCWモデル。さらにBEVモデルのEとSEも追加され、BMWが標榜するマルチパスウェイを証明するようなラインナップになっている。
新型カントリーマンの最大の特徴というか問題はダッシュ廻りにあった。闇夜に浮かぶ地球儀のようなまん丸モニター。たぶん歴代ミニ・オーナーならすんなり慣れてしまうはず。でも門外漢にとってはこれが実に扱いづらかった。
円形の有機ELディスプレイのインパクトは室内全体の印象を決めてしまうほど強烈だ。
おまけにドライバー正面には投影式のヘッドアップディスプレイがあるだけ。全ての情報や操作系がディスプレイ内に集約されているのだ。
メーカー的には「直観的に操作できます!」と言いたいのかもしれないが、個人的にはそう簡単でもなかった。オーディオを呼び出してラジオ局ひとつ選ぶのも時間がかかったし、ドライブモード「コア」とか「ゴーカート」などミニ世界の言葉に置き換えられていて煩わしい。ここはオーナーと一見(イチゲン)さんで評価が分かれるところだろう。
ミニらしからぬ強心臓も歴代JCWの特徴だ。今回も2L 4気筒ガソリンターボで317psに達している。踏めばすこぶる速いのだが、無用の長物という感もなくはない。
牧歌的なカントリーマンという響きと、ドライブシャフトの不等長具合がすぐにわかるオーバーパワーがクルマの中でケンカしていると感じるのは筆者だけだろうか?
乗り心地はいくぶんマイルドになったけれど、実用車として検証していくと、JCWカントリーマンにはアンバランスと思える部分がいくつもあるのだ。
とはいえ歴代のJCWは、そんな極端な感覚を面白がる人たちのためグレードなのだろう。だから今回の仙台往復も思ったより短い時間で走り切ることができたのだけれど、でもまぁまぁ疲れた。初めてJCWに触れる人は、少し慎重に選んだ方がいいと思う。
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