
「太陽光パネルの運搬と廃棄に1枚当たり3千~4千円。これとは別に解体に小規模な施設でも数十万円からの費用がかかる」
太陽光発電施設を安全に撤去するためにかかる費用について、ある廃棄業者はこう説明する。
再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が買い取る固定価格買い取り制度(FIT)が平成24年に始まってから10年以上がたち、国内では太陽光発電が爆発的に普及した。一方、太陽光パネルの寿命は20~30年程度とされる。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、廃棄が2030年代後半にピークを迎え、その量は年間17万~28万トンになると推計する。
現在はリサイクルの義務がなく、発電事業者は任意で廃棄業者に処理を委託している。ただ、すべての事業者が100万円を超えることも珍しくない廃棄費用を支払って、適切に処理を行えるかどうかに懸念が生じている。
そこで国は令和4年に、事業者に対し発電規模に応じて毎月の売電収入の4~7%程度を廃棄費用として積み立てることを義務化。しかし、業界関係者は「積み立てだけでは現状の廃棄費用には足りないだろう」と疑問を持つ。とくに傾斜地などに設置されている場合は解体費がかさみ、追加費用が発生することもある。費用がかさめば、適切に廃棄されずに放置や投棄が増える恐れがある。
リサイクル需要の高まりを見越して事業に参入する企業は増えている。すでに京都府内などに太陽光パネルをリサイクル処理できる施設をオープンしている浜田(大阪府高槻市)は年間10万枚の処理ができるという。
それでも浜田の担当者は「国内にまだ大量廃棄時代に対応できるほどの処理能力はない」と指摘する。また、埋め立てと比べてリサイクルのコストが高いのも今後の普及の課題になるという。
Read full article
Read full article
Comment
コメントする