韓国・5大都市の1つ、仁川(インチョン)市のマンション地下駐車場で先月、メルセデス・ベンツの電気自動車(EV)から出火し、車両87台が全焼した。約500世帯で1週間近く停電や断水が続いた。バッテリーの最大容量を超えて充電する過充電が原因とみられる。
さらに、龍仁(ヨンイン)市の路上に駐車していたテスラのEVからも火災が発生した。こちらは充電中ではなく、バッテリーの熱暴走が要因とされる。EVのリチウムイオンバッテリーは高エネルギー密度を持ち、効率的なエネルギー供給を可能にする一方で、外部の衝撃や温度変化に敏感で、過熱や発火のリスクが高い。
米国ミネソタ州でマイナス20度を超えた寒さでは充電ができず、あきらめた人が車を乗り捨てにする「テスラの墓場」という状況も伝わっている。
韓国自動車大手、現代自動車のEV発売を控え、韓国のEV産業が競争力を失いかねないとの指摘もあり、同国当局はメーカーにバッテリーの主要情報の公開を義務づけるなど、過充電防止などの対策に乗り出している。
しかし、韓国の人たちの間でEVの不安が広がり、中古車市場に大量に売りに出されたものの、まったく売れないという状況。この韓国のEV恐怖症、今後、全世界に波及するんじゃないかと思われる。
世界の潮流2024-25 [ 大前研一 ]
韓国の話題を続ける。電池大手のサムスンSDIは偏光フィルム事業を約1200億円で同業の中国企業に売却すると発表した。偏光フィルムはテレビなど液晶ディスプレーの表面に使う材料。2023年12月期には同社の売上高の5・3%を占めた。今後は半導体や有機ELディスプレーなど次世代製品向けの素材に集中するという。
撤退の理由について、「偏光フィルムは中国企業が増産しており、近く供給過剰になる」と説明している。ただ、政府の補助金を受けて安価な製品を送り出す中国の攻勢に悩まされ、単に工場を閉めるだけでなく、中国企業に売却するということは、今後は偏光フィルム事業の企業が悩まされるということ。他人に迷惑がかかる始末の方法にも問題がある、と指摘したい。
もう1つ、韓国サムスン電子はインド南部の工場で賃上げなどを求めてストライキを実施している従業員に対し、抗議活動中は賃金が支払われず、解雇のリスクがあると通知した。
サムスンは労組を提訴し、工場内や周辺での扇動行為や演説を禁止する仮処分を求めたが、裁判所は速やかな解決を呼びかけるにとどめていた。
インドの労働環境というのは、そう簡単ではない。日本企業もインドでは非常に苦労した。インドにおける四輪車の累計生産3000万台を達成したスズキも、何回もストライキに悩まされている。
インド最大級のコングロマリットのタタ・グループのような地場の企業でも状況は同じだ。同社が完成した小型自動車「ナノ」の工場も周辺の農民が反対して操業開始ができなかったこともある。
英語に「ウエルカム・トゥ・ザ・クラブ」という皮肉な表現がある。意地悪で「あなたも仲間になりましたね」というもの。サムスンも日本企業が経験してきたインドでの労働環境の難しさの洗礼を受けたということ。快進撃を続けるというニュースの多い韓国からの気になったニュース3つをお伝えした。
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