NHK放送技術研究所(技研)は23日、厚さ0・01ミリメートルの薄くて曲げられるシリコンイメージセンサー(写真)を開発したと発表した。湾曲させて動作させることで横方向のぼやけを大幅に改善した映像の撮影に成功したという。2030年ごろまでに小型でぼやけの少ない広視野な放送用カメラの実用化を目指す。
イメージセンサーはレンズを通った光を電気信号に変換する素子。通常のイメージセンサーは硬くて厚いシリコン基板を使うため曲げることができない。このため、シリコン基板とシリコンデバイス層の間に薄い酸化膜を挿入した特殊な構造を用いることで厚いシリコン基板を化学反応によって取り除き、薄くて曲げられるシリコンイメージセンサーの開発につなげた。
従来の平面構造のイメージセンサーでは撮像面と結像面にずれ(収差)が発生し、映像の周辺部にぼやけが生じていた。また、撮影の視野を広げるほど収差の影響が大きくなるため、通常は多数のレンズを組み合わせて光を複数回屈折させるこことで収差を補正するが、カメラが大きくなる課題があった。
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