デクセリアルズは、「第15回 高機能素材Week」(2024年10月29~31日、幕張メッセ)内の「FILMTECH JAPAN - 高機能フィルム展 -」に出展し、「粒子整列型異方性導電膜(ACF)」と開発品の「マイクロLEDチップ実装用ACF」を披露した。
ACFは、集積回路(IC)などの電子部品を基板に接続し、回路を形成するために用いられるフィルム素材だ。デクセリアルズの前身であるソニーケミカルが1977年に製品化し、現在ではスマートフォンやタブレット端末、高精細テレビなどのフラットパネルディスプレイを用いたデジタル機器のほぼ全てに回路接合のための材料として使われている。
なお、ディスプレイの画面に映像を表示するためには、ICチップとディスプレイのガラス基板を電気的に接続し、多数の電子回路を形成する必要がある。その接続に使われるのがACFだ。ACFを用いたICチップとディスプレイのガラス基板の接続方法は、ガラス基板にICチップを接続する実装工法「COG(Chip On Glass)実装」とガラス基板にフレキシブルプリント回路を接続「FOG(Flex On Glass)実装」がある。
粒子整列型ACFは、熱硬化性樹脂と剥離フィルムから成り、熱硬化性樹脂には樹脂、ニッケルを用いた導電層、絶縁コートで構成される導電粒子が整列した状態で配置されている。粒子径は直径3.5μmで、粒子面密度は20kpcs/mm2となる。
デクセリアルズの説明員は、「従来の粒子分散型ACF(粒子径:直径3.2μm、粒子面密度:60kpcs)は搭載された導電粒子が整列していない。そのため、導電粒子が多い部分や少ない部分があり、ファインピッチ化した小型なICチップの電極(端子)が導電粒子を捕捉するのが難しい。一方、粒子整列型ACFは粒子面密度が小さい(粒子量が少ない)が、各端子の粒子捕捉数のバラツキが少なく、かつ端子面に広がっている。つまり、ファインピッチ化した小型なICチップの端子とディスプレイのガラス基板をFOG実装できる」と話す。
既にCOG実装向けおよびFOG実装向けの粒子整列型ACFは量産体制が確立している。粒子整列型ACFの用途としては、マイクロLEDディスプレイ、AR/VRグラス、カメラモジュール、はんだ接合用の代替素材を想定している。
現在、同社が粒子整列型ACFを用いて開発を進めているのがマイクロLEDチップ実装用ACFだ。マイクロLEDチップ実装用ACFの導電粒子径は直径2.2μmで、粒子面密度は58kpcs/mm2となる。
デクセリアルズの説明員は、「将来は導電粒子径が直径1.7μと小径で、粒子面密度が100kpcs/mm2の高密度なマイクロLEDチップ実装用ACFの開発を目指す。これにより小型なマイクロLEDディスプレイに対応しやすいACFとする」とコメントした。
このACFを用いたマイクロLEDディスプレイは、マイクロLEDチップ、マイクロLEDチップ実装用ACF、ディスプレイパネルで構成される。このACFによるマイクロLEDチップ実装のメリットとしては、「はんだ実装用バンプ(突起状の接続電極)形成が不要な点」「ソルダー(半導体チップと基板をはんだで接続する)バンプが不要な点」「ファインピッチ接続に応じる点」「はんだ実装では対応が難しい100μm2以下の極小電極での回路接続に対応する点」「低温および140℃での実装が可能な点」を挙げている。
会場では、台湾のディスプレイメーカーであるPlayNitride(プレイナイトライド)がマイクロLEDチップ実装用ACFを用いて試作したマイクロLEDディスプレイも展示した。このマイクロディスプレイの対角は1.58inchで、ディスプレイタイプはマクロLEDチップオンガラス。ディスプレイ解像度は256×256で、ピクセルピッチは0.111×0.111mm。アクティブエリアは28.416×28.416mm。ディスプレイパネル寸法は、34.41×38.78×1.0mmで、カラー配列はRGB。
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