
加藤敬太社長は同日会見し「フィルム型ペロブスカイト太陽電池の開発では、耐久性で1歩、2歩リードしている。事業化で日本のエネルギー政策に強くコミットする」と語った。
さらに「今回、(経産省の)GXサプライチェーン構築支援事業の採択が決まり、量産化の意志決定に大きく前進できたが、それだけでなく需要先も優先的に公共エリアなどを選択するなど官民でさまざまな相談が進んでいる。その目算も含めて、向こう5年で1ギガワットまで事業を垂直に立ち上げていく」と力を込めた。
ペロブスカイト太陽電池の設計・製造・販売を行う新会社、積水ソーラーフィルム(大阪市北区)を25年1月6日に設立する。出資比率は積水化学が86%、日本政策投資銀行が14%。量産化に向け、同日、シャープと建物売買契約にともなう基本合意を結んだ。建物購入費と100メガワット製造設備などの投資総額は900億円。設備稼働は27年4月を予定する。
積水化学は液晶封止材や自動車用合わせガラス中間膜などで培った技術を応用してフィルム型ペロブスカイト太陽電池を開発し、事業化に取り組んできた。25年の事業化は、幅30センチメートルのロール・ツー・ロール(R2R)方式の製造技術で、現有設備で製造する。25年度に幅1メートルの製造技術を確立し販売を始める計画。
製造コストの低減や、生産能力拡大が課題だったが、25日、経済産業省のGXサプライチェーン構築支援事業に採択されたことを受け、量産化の意志決定を行った。
まずは、軽量でフレキシブルという特徴を生かし、耐荷重性の低い屋根、災害時避難所となる体育館などを中心に導入を進める。量産効果でコストを低減し、民間の工場・倉庫の屋根や外壁面もターゲットに市場を開拓し事業拡大を狙う。需要を捉えて段階的に増強投資を行い、30年にギガワット級の製造ライン構築を構想する。
太陽電池市場は主流の結晶シリコン型でかつて日本企業が主導したが、中国勢に大型設備投資などによる低価格品攻勢で世界シェアを奪われた。しかし、次世代型と目されるフィルム型ペロブスカイト太陽電池で世界をリードできる可能性がある。また、主原料ヨウ素は、日本の生産量が世界2位で「国内で調達できる」。サプライチェーンを自国で確保でき、経済安全保障上の意義も大きい。積水化学はカギを握る量産体制を先んじて整備し、世界市場を先導することを目指す。
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