
さらに、複数のセルを直列・並列につないでパネルに組み立てた太陽電池モジュール(太陽光パネル)についても、その生産規模が急拡大している。2024年第3四半期に米国内で生産された太陽光パネルは、これまでで最大を記録した。
2024年第3四半期に9.3GWもの新規太陽光パネルの生産能力が加わり、米国の太陽光パネルの総生産能力は約40GWにまで拡大した。
SEIAはレポートで、2024年の米国太陽光発電市場の規模をパネル出力で40.5GWと予測しており、米国の太陽光パネル工場がフル稼働すれば、国内の太陽光パネル需要のほぼすべてを満たすのに十分な製品を提供できることになる。世界的に太陽電池サプライチェーンの中国への依存が問題視されるなか、こうした米国での動きは、エネルギー安全保障の視点から注目される。
具体的に、結晶シリコン系太陽電池セルの生産を米国で再開したのは、米国ジョージア州メトロアトランタに本社を置くサニバ(Suniva)だ。同社は高効率の結晶シリコン太陽電池セル・モジュールメーカーとして知られる。2007年に創立され、ジョージア州でセルを生産、ミシガン州でモジュールを組み立てていた。
サニバは、2016年にセル生産を拡大し太陽光パネルの組み立て事業も拡大する計画も公表していた。だが、低価格の輸入品との価格競争で苦戦を強いられ、設立から10年後の2017年に破産申請を行った。
破綻後、サニバは休止状態になっていたが、2023年10月にジョージア州でセル製造工場を再稼働すると発表した。同社を復活に導いたのは、2022年8月に米バイデン大統領によって導入された「インフレ抑制法(Inflation Reduction Act: IRA)」である。
IRAには、太陽光発電所の新設という需要側への刺激策にとどまらず、太陽光設備の供給側に対し、その国内生産を促す連邦税額控除などのインセンティブが含まれていて、国内生産拡大への強い追い風となった。
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