Screenshot 2025-02-14 09.18.44Screenshot 2025-02-13 12.30.21Screenshot 2025-02-13 12.31.04液晶ディスプレイ その表現力の限界
「mini LED」とは、LCD(液晶ディスプレイ)における新しいバックライト技術のことで、LED(発光ダイオード)そのものは液晶パネルのバックライト光源として用いられる。

iMacやMacBook Air、Pro以外のiPadシリーズに搭載されている一般的なLCDのバックライトシステムは「サイドライト型」と呼ばれ、画面の下部、あるいは両サイドの表示エリア外に設置されたバックライトLEDアレイの光を導光板と反射板、光拡散シートを用いてディスプレイ全体に導き、1枚の大きな白色発光パネルを構成している。

LCDは、この上に液晶パネルによる画素単位の電子シャッターとカラーフィルタを重ね合わせ、バックライトの透過量を調整することで表示を行っている。LCDのコントラスト比は一般的に2000対1程度が限界とされており、特にHDR(ハイダイナミックレンジ)表現のためにバックライトの輝度を上げた場合、暗部の黒浮きが課題となっていた。






一方、(iPhone SEを除く)iPhoneシリーズやApple Watchなどに採用されているOLED(有機ELディスプレイ)は、各ピクセルが各色に発光する自発光デバイスで、LCDのようなバックライトを必要としない。点灯していないピクセルがまったく光を発しないことから、暗部の表現力や色純度が極めて高いことが特徴で、iPhone 12シリーズの場合、そのコントラスト比は200万対1とまさにケタ違いだ。

このことから、iPhoneで撮影したHDR写真やHDRビデオは、OLEDを搭載するiPhone上では極めてリアルかつダイナミックに描かれるのに対して、サイドライト型バックライトのLCDを搭載するiPadシリーズやMacシリーズでは充分な表現力が得られないという課題があった。

明暗表現力を拡張するローカルディミング
このようなLCDの狭いダイナミックレンジをカバーするために考案されたのが、液晶パネルの背面に光源となるLEDを敷き詰める「直下型バックライト」と、そのLEDを個別に制御することで明暗のダイナミックレンジを拡張する「ローカルディミング」である。

ローカルディミングは別名「エリア駆動方式」とも呼ばれ、明るい部分のLEDをより明るく、暗い部分のLEDを暗く絞ることでLCD全体のダイナミックレンジを拡張するもので、原理上は液晶パネルとLEDバックライトのコントラスト比を積算したダイナミックレンジが得られる。

このローカルディミングを採用したはじめてのApple製品が、2019年に発表された「Pro Display XDR」で、従来のLCDを大きく凌駕する100万対1のコントラスト比を謳っている。

しかし、ローカルディミングにも課題が存在する。数の限られるバックライトLEDと高解像度の液晶パネルの両方を適切に制御して、それぞれのピクセルで正確な明るさと色を再現する必要があるためだ。特に明るい部分と暗い部分が近接しているエリアでは複雑なイメージ処理が必要になり、制御が適切でないと明るさのムラや不自然な描写になってしまう。

そこで、Pro Display XDRでは専用に設計された高性能T−COM(タイミングコントローラ)で、リアルタイムかつピクセル単位でLEDピクセルと液晶ピクセルの最適値を算出し、緻密なコントロールを行っている。

このようなPro Display XDRの優れた表現力をiPadシリーズやMacに展開するうえで欠かせないのが、ミニLED技術だ。バックライトLEDをより小さく薄く高密度で配置することで、iPadシリーズやMacBookシリーズにも搭載可能な直下型バックライトを実現できる。

特にテレビや大型ディスプレイとは異なり、iPadシリーズやMacBookシリーズ用のディスプレイには薄型軽量でかつ低消費電力あることが求められることから、mini LED技術が必要不可欠となる。

ノートパソコン向けのmini LEDバックライトはすでに実用化されており、2020年5月にリリースされた台湾のメーカー・MSI(Micro-Star International)のクリエイティブノートPC「Creator 17)」では、4K解像度の17インチLCDで最大輝度1000ニト、コントラスト10万対1を実現し、ディスプレイHDR1000にも対応している。

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